狙いは大人女子 カラフルな「筆ペン」にブームの兆し
筆記具市場が盛り上がりを見せている。各社がターゲットにするのは、SNSでの交流も大切にする20代以降の「大人女子」だ。
2019年春、売り場を賑わせているのが、発色の良さとすらすらとした書き心地を特徴とする水性ペン。ロフトによれば、なかでも筆ペンタイプのマーカーが最有望株という。かつての筆ペンは年配の人が挨拶状などに使うものだったが、多彩な色をそろえた商品が続々と登場して、イメージが一変。
「海外のSNSが発祥の流行で、文字をアート風に装飾する『モダンカリグラフィー』の影響もあり、手軽に柔らかな曲線が描ける筆ペンを利用する女性が増えそう」(文具雑貨部バイヤーの安田雅氏)と期待する。
ちなみに20年からは小学校低学年の書道の授業にも筆ペンが導入されると予想され、また「中国からの観光客の土産にも日本の筆ペンが喜ばれている」(安田氏)。筆ペンが長期トレンドを迎える可能性は高い。
もう一つの潮流は、カラフルなサインペン。ゼブラが3月に発売した「クリッカート」は、サインペンにノック式を採用した画期的な商品。ワンアクションで使える手軽さが売りだ。
三菱鉛筆も4月19日に耐久性に優れた芯を装備した「エモット」を投入した。こちらは細い線を書き続けられるのが魅力。どちらの軸もシンプルな白無地で、売り場で目を引くのは確実だろう。
用途は異なるが、ぺんてるは修正ペンの外装にまで植物模様を施した。「SNSでの情報拡散がヒットに直結する今、筆記具にも人に話したくなる要素が必要」(安田氏)。市場の主役になるには、大人女子の心を捉えるデザイン性が欠かせない。
(ライター 奥井真紀子、写真 大高和康)
[日経トレンディ2019年5月号の記事を再構成]
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