「スシロー居酒屋」充実の海鮮メニューと割安感が魅力
回転寿司チェーンのスシローが、2017年8月から密かに展開する大衆寿司居酒屋がある。新業態の「鮨・酒・肴 杉玉」だ。1号店のオープンから約1年で5店舗にとどまりながら、今後3年で100店オープンを目指すと宣言。一気に出店攻勢をかける。
刺し身や握り寿司などの海鮮メニューを、一部を除いて299円均一で用意するのが特徴。スシローの仕入れ、流通網を使える強みを生かした、居酒屋としては破格の割安感が魅力だ。
成功の理由は、ただ安いだけではない。例えば、缶にランプフィッシュキャビアを敷き詰めた「キャビア寿司」、ガラス球に食材を詰め込んだ「杉玉ポテトサラダ」といった奇抜で写真映えするメニューがずらり。
一方、スシローとは違う独自のシャリを使う握り寿司は本格志向。何と洋食の調味料であるバルサミコ酢も加え、独特の風味を出す。味わいだけでなく、黄色がかった見た目で話題をつくるという狙いも隠れている。「シャリに洋食の調味料!」という意外性も抜群だ。
神楽坂に3号店をオープンするまでの約半年間は、スシローの社名を隠して営業。販促も控えた。「店の純粋な評価を知り、チェーンの土台をつくることが狙い。力以上に売れてもオペレーションが追い付かず、客が離れるだけ。失速感も生まれてしまう」(運営するスシロークリエイティブダイニング取締役の金井智秀氏)。
実際、公表が二の矢になり赤丸急上昇中。オープンから約2年越しと「時間差」の出店攻勢は、したたかな戦略の賜物なのだ。
(日経トレンディ編集 高田悠太郎、写真 古立康三、fort)
[日経トレンディ2019年5月号の記事を再構成]
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