日経DUAL

2019/4/18

働き方改革はトップダウンがいい

自社の働き方改革で誇れる点についての自由解答欄では、育児支援についての手厚さ、女性活躍、テレワークやフレックス制度など、柔軟な働き方についての取り組みに触れたコメントが目立ちました。

■自社の働き方改革で誇れる点

●育児支援
「子育て中の女性の働きやすさに関する制度は整っている。小学校6年生まで時短取得可能、テレワークOK。雰囲気も良くなってきた」(33歳、女性、電子・電子機器業界、販売・営業部門)
「7年前、1人目を出産後に取得した時短では、時短では評価は上げられないから早くフルに戻るようにと指示されたが、2人目の今回は時短でも復帰1年目で昇級があった。時短でも差別されなくなったのは良いと思う」(48歳、女性、教育関連、専門職)
「育児中の女性が時短勤務を遠慮なく取れる。また急な休みも比較的取りやすい雰囲気作りができている」(31歳、女性、情報処理系、販売・営業部門)

●柔軟な働き方ができる
「コアタイムがなく柔軟に働きやすい」(35歳、女性、自動車・輸送機器、技術・研究開発部門)
「テレワークを試行中。病気で定期的な通院が必要な人がテレワークによって半休や終日有休をとらずにすんだ、育児のため短時間勤務の人がフルタイム働けるようになったなど好評」(49歳、男性、その他製造、企画・広報・マーケティング部門)
「短時間フレックス制度を使っているので、いつもできる限り仕事を早く終わらすようにして、帰れるときは早く帰っている」(34歳、女性、建設、総務部門)
「子どもがいない人でも私生活との両立のために時短勤務が認められた」(51歳、男性、電子・電子機器、企画・広報・マーケティング)
「自由に在宅勤務できる。子どもが体調不良だから今日は在宅勤務という選択ができる。会議も基本的にweb会議なので、頑張れば会議も在宅で参加できる。管理職も一般社員も等しくこういう働き方ができる。おのおのスマホに会社のチャットアプリを入れていて、電車遅延で遅れそうなどの連絡がチャット経由でできる。部署ごとのグループチャットがあり、技術的な相談などもチャットでできる。うちの部署では毎朝朝礼をしていて、東北、東京、大阪でビデオ会議システムをつないで 、今日の仕事内容の共有をしている」(38歳、女性、情報処理、人事・労務部門)

●女性活躍を推進している
「自分の所属する研究所に限っては、女性でも研究所の所長や部長になれる人がたくさんいる」(30歳、女性、素材、技術・研究開発部門)

●トップダウンで会社が変わった
「社長の強烈なリーダーシップで導入から浸透までのスパンがかなり短かったことはすごいと思う」(36歳、女性、建設、専門職)
「トップがかじを切ってくれたことは大きいです。彼の心を動かしたのが娘の出産後の会社復帰への訴えだったことを考えると、そのお嬢さんに感謝したい。リモートワーク推進では全社員に半ば強制的に体験させるため、回数に応じて手当てを出したり、実施しない部課長にはペナルティーを課したりして、とにかくそれが普通という環境をつくり出したことは大きいと思います。さらにフレックスのコアタイムをなくしたことで自由度が高まりました。また服装も自由にしてくれたので本当に助かっています」(50歳、女性、情報処理、販売・営業部門)

会社のトップが旗振り役を務めたことで、スムーズに会社が変わった、という自由回答も見られました。多くの企業にイクボス研修を行っている、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事で、東レ経営研究所・上席シニアコンサルタントの塚越学さんは「働き方改革はこのように、トップダウン方式だとスムーズに進みやすい」といいます。

一方で、アンケート結果からはひとつの問題点も見えてきました。

働き方改革をしている職場の過半数が効果を感じていない

「働き方改革をしている」に「はい」と回答した読者のうち、「自社の改革が効果を生んでいると思う」に「はい」と回答したのは46.5%でした。逆を言えば、過半数は職場が「働き方改革」をしていても「効果を生んでいると思わない/わからない」と感じているということになります。

特にどの項目において「効果を生んでいると思わない/わからない」かを見たところ、「評価制度」が73.3%、「人材育成」が53.8%、「労働時間」が43.1%、「柔軟な働き方の制度化」が40%、「子育て支援」が39.2%でした。

具体的な不満の声は、次のページで紹介します。

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表面上の改革ではほころびが生じる