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荒れた海に暮らす新種のシャチ DNA採取で確認へ

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/4/19

ナショナルジオグラフィック日本版

世界屈指の荒れた海に、普通のシャチとはだいぶ違った幻のシャチがいる。「タイプD」と呼ばれるシャチだ。

タイプDのシャチは普通のシャチとは違って、頭部が丸く、背びれは尖って幅が狭く、アイパッチと呼ばれる目の上の白い模様が非常に小さい。体長も数十センチ小さいようだ。

このほど初めて、科学者たちが野生のタイプDに接触し、調査することに成功した。米海洋大気局(NOAA)の研究者ロバート・ピットマン氏は、このシャチは新種である可能性が「非常に高い」と言う。

科学者チームがこのシャチの群れに遭遇したのは2019年1月。場所は、南米の最南端にあたるチリのホーン岬から約100kmの、ピットマン氏いわく「世界で最悪」の荒れた海域だ。

タイプDのシャチの存在はこれまでも知られていた。ただし、1955年に大量座礁が一度あったほかは、アマチュアによる写真や映像、漁師の証言などがあるだけで、鯨類の専門家が野生下の個体に遭遇したことはなかったのだ。

現在、公式にはシャチは「オルキヌス・オルカ(Orcinus orca)」1種のみとされているが、カナダ水産海洋省とカナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学の研究者ジョン・フォード氏は、いくつかの「タイプ」には別の学名を与えてもおかしくないほど顕著な特徴があると言う。

今回調査された「タイプD」のシャチは、丸い頭部、尖った背びれ、小さなアイパッチなど特徴的な外見をもち、新種である可能性が高い(PHOTOGRAPH BY JARED TOWERS, NOAA )
世界各地で見られる「典型的」なシャチは、体もアイパッチも大きく、背びれはあまり尖っていない(PHOTOGRAPH BY PAUL NICKLEN, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

しかし、独立の種として認めるためには、詳細な計測やDNAの分析など正式な科学的プロセスを踏む必要がある。

調査船に乗り込んだ研究チームは、最近漁師たちがタイプDらしきシャチを見かけたという海域に投錨した。1週間以上が経過したとき、ついに25頭ほどのシャチの群れが近づいてきた。

科学者たちは水中と水上からシャチを撮影し、無害な手法で皮膚と脂肪の小さな断片を採取した。今後シャチのDNAを調べることにしていて、これによりタイプDが新種かどうかが確定する。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2019年2月24日付記事を再構成]

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