サーフィンの姫、夢はデザイナー 東京五輪の有望株

卒業制作は苦労したが、今ではいい思い出だ(写真は東京五輪を念頭に波をデザインした作品)

2020年東京五輪で追加種目となったサーフィンで、若手有望株の一人が鈴木姫七(ひめな)さん(20)だ。父親の指導のもとで小学生のころから猛練習してきたが、畑違いのデザインを学んだ高校時代が転機となった。練習時間が十分とれない分、集中してサーフィンに取り組むように。将来はデザイナーになりたいという夢も生まれた。卒業から2年、飛躍のときを迎えている。

「高校はすごい楽しかったです。いろんなことが新しくて、友達もたくさんできました。でもやっぱり勉強は大変で、課題を提出するため放課後は学校に残るのが当たり前なのに、私は練習のため帰らなきゃいけない。友達や先生が『サーフィン頑張りなよ』と手伝ってくれて、成り立った高校生活でした」

5月6、7日に開かれる第1回ジャパンオープンへの出場も決まった=撮影 FINEPLAY(水口真寛)

神奈川県立小田原城北工業高デザイン科で、図面、色彩など工業デザインの基礎を学んだ。通学は自宅から電車で1時間くらい。日の短い冬場は急いで家に帰っても、海に入る時間がない。サーフィンの練習には、良い環境といえなかった。

「普通サーフィンしたい人は(練習や試合の時間を確保しやすい)通信制に進みますが、親からはお金がかかるから駄目と言われていました。じゃあどうしようかとなったとき、家から近い高校を選ぶか、好きだったデザインを学ぶかすごい悩みました。でも将来のことを考えると、サーフィン一本ではやっていけないから、手に職をつけられる方ということで選びました」

予想通り、練習時間は激減した。小中学生のとき朝夕合計で6時間だったのに対し、高校では夕方の30分から1時間だけ。ところが試合の成績はぐんぐん上昇した。高1でアマチュアの国内大会で初優勝し、高2で国内の主要4大会を制覇。高3でプロに転向した。

「自分でもいまだに分からないんですけれど、なんか強くなったんですよ。メンタルが。いつも試合で緊張していたのに、全然しなくなって。勝とうと思ってやっているんじゃなくて、試合に出られるんだから頑張ろう、勝てるところまで勝てたらいいなあという気持ちでした」

サーフィンできる時間を大切に

練習に取り組む姿勢も変わったという。

「小さいころは海に行くのがすごい楽しかったのに、中学からはサーフィン一本になって嫌なことばっかりでした。学校が終わったらまっすぐ家に帰るので、友達と遊ぶ時間はありません。冬の海は寒いし、重いスエットスーツは着なきゃいけないし……」