検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

1日60人 国籍無いまま生まれるロヒンギャ難民の子

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

バングラデシュにある世界最大規模の難民キャンプ。多いときで日に60人もの赤ちゃんが誕生するという。2017年2月、この地を訪れたバングラデシュ人の写真家トゥルジョイ・チョードリ氏の写真とともに、当時の状況を振り返ってみよう。

◇  ◇  ◇

チョードリ氏がキャンプを歩いていると、小屋の中から赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。中にいたのは、赤い毛布にくるまれた生後1日のロヒンギャの女の子だ。母親は子どもを毛布から出して撮影させてくれた。

チョードリ氏は、どこかで見たインスタグラム写真のように、赤ちゃんを真上から撮ることにした。難民としてではなく、普通の赤ちゃんとして撮影するためだ。「その無邪気な目を見た瞬間、『いったい何が起こっているのか』と思いました。この子は、政治とは何の関係もないのです」とチョードリ氏は話す。

写真が撮影されたのは、バングラデシュのコックス・バザール難民キャンプ。ここには、ミャンマーから逃れてきた少数民族ロヒンギャの人々が大量に暮らす。そして、ここで生まれたロヒンギャの赤ん坊は、バングラデシュ人ともミャンマー人とも見なされない宙に浮いた状態から人生を始めることになる。どちらの国もロヒンギャを自国民と認めていないため、チョードリが見かけた赤ちゃんも、この難民キャンプで毎日60人ほど誕生している無国籍者の1人となる。

ロヒンギャの人々は数十年にわたって隣国ミャンマーで迫害を受けてきた。15世紀からそこに住んでいると主張しているにもかかわらず、ミャンマーでは市民権もはく奪され、不法滞在者と見なされる。1982年、ミャンマーは国が認める135の民族からロヒンギャを排除するという法律を制定し、出生時から市民権をはく奪したのだ。

2017年8月、この少数民族に対する軍事作戦が大規模な難民危機に発展した。それ以来、73万6000人を超えるロヒンギャがバングラデシュに逃げ込んだが、そこでも正式な難民とは扱われていない。移動は制限され、教育や公的サービスも受けられず、市民権も得ることができない。

最初の写真を撮ってからも、チョードリ氏は混雑したキャンプで赤ちゃんを探しては、「Born Refugee」(生まれながらの難民)と名づけたプロジェクトの撮影を続けている。

「人々は、かけがえのない命が生まれてきているのだと認識し始めています。だから、私を赤ちゃんのもとに連れて行ってくれるのです」とチョードリ氏は話す。そうして20人近くの写真を撮影した。そのほとんどはまだ名前がなく、尋ねたその場で名前がつけられたこともあった。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、コックス・バザールで暮らしている50万人の子どものうち、3万人が1歳に満たない。ユニセフ(国連児童基金)の広報を務めるカレン・レイディ氏は、「国籍がないため、ロヒンギャの子どもたちの未来には暗い影がさしています」と言う。彼らは、正式な教育からも、労働市場からも切り離される可能性が高い。「国籍のない子どもは、一生差別される可能性もあります」

UNHCRは、世界中で国籍がない人が少なくとも1200万人いるとしているが、特に中国などの地域では、データに不備がある。無国籍問題に取り組む団体「Institute on Statelessness and Inclusion」の共同責任者であるアマル・デ・チケラ氏は、米国からバングラデシュの難民キャンプに至るまで、世界中で外国人を排斥する気運が高まっていると言う。無国籍者の増加はその影響かもしれない。市民権のない難民となれば、問題はさらに深刻だ。

「ロヒンギャという民族はその歴史上つねに迫害され続け、どの国からも認められない状況にまでなってしまいました」とデ・チケラ氏は話す。「その影響の一つに、普通の難民支援策が利用できないことがあります。国がなければ、母国に無事に送り届けるだけでは不十分です。帰る国が必要なのです」

民族紛争にばかり目を奪われているが、その巻き添えとして被害を受けているのは、国がない状態で生まれた子どもたち一人ひとりだ。チョードリ氏はそう考えている。「いつも心に浮かぶのは、ジョン・レノンの『イマジン』です。国境のない世界。それがこのプロジェクトのすべてです」

次ページでも、チョードリ氏が撮影した母と子の写真を紹介したい。

(文 NINA STROCHLIC、写真 TURJOY CHOWDHURY、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2019年1月10日付記事を再構成]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_