
1994年にMEN'S EXが創刊して以来、数えきれないほどのスーツブランドが日本に上陸してきたが、その中で今なお、そしてこの先も残る名門を総ざらい。6つのグループに分けて、おのおのの魅力を改めてご紹介しよう。
[ 1. イタリアスーツの頂点をなすクラシコ四天王 ]

1. KITON/キートン
最高峰のハンドメイド
1969年にチロ・パオーネが創設したキートンは、ナポリ製高級既製服の礎を作った立役者。巨大な工房の中には当地随一の職人が集結し、最高峰のハンドメイドスーツを手掛けている。中でもこの「KB」モデルはブランドの象徴。ゴージとボタン位置が低めのクラシックな作風だ。生地は14ミクロンの超極細ウール。 78万円(キートン 銀座店)
2. CESARE ATTOLINI/チェーザレ アットリーニ
ナポリ仕立ての帝王
キートンと双璧をなすナポリブランドといえばこちら。ロンドンハウス(現ルビナッチ)の伝説的職人を父にもつチェーザレが生んだスタイルは、スーツ好きにとって永遠の憧れだ。前身頃がコンパクトで胸が前にせり出して見える仕立ては、男の色気と逞しさを十二分に引き出してくれる。こちらはコットン生地。 50万円(トゥモローランド)

3. ISAIA/イザイア
世界を魅せる“コンテンポラリートラディション”
クラシコイタリアブームの時代から日本でも不動の地位を占めるイザイア。3代目のジャンルカ・イザイアが提唱した「コンテンポラリートラディション」で更なる躍進を果たし、現在は米国でも大人気だ。こちらは丸みを帯びた肩と短めの着丈が軽快な「コルティナ」。生地はウール・シルク・リネン。 38万円(イザイア ナポリ 東京ミッドタウン)
4. BELVEST/ベルヴェスト
抑制美が醸し出す、唯一無二のエレガンス
北伊パドヴァの本拠を訪ねると、貴重な絵画や芸術品がずらりと並ぶ。そんな場所で生まれるベルヴェストのスーツは、南伊とは一線を画す都会的洗練に満ちている。ビッグラペルを配したこちらも、縫い糸一本まで精緻を極めた仕立てで全体には控えめな印象。柔らかさと抑制美の両立が、唯一無二の品格を醸し出す。 26万6000円(八木通商)
【 クラシコ四天王の袖付けを比較する 】
スーツの作風が如実に表れる肩。クラシコ四天王を比較すると、まずベルヴェストとナポリ勢の違いが明白。前者がクリーンで端正なのに対し、後者はギャザーを寄せて柔らかさを強調している。中でもアットリーニとキートンは典型的な「マニカ・カミーチャ(マニカ・マッピーナ)」でよく似た雰囲気。イザイアはギャザーがやや控えめだ。

[ 2. “軽さ”で魅せるナポリ3傑 ]
■STILE LATINO/スティレ ラティーノ
新世代ナポリ仕立ての旗手
ヴィンチェンツォ・アットリーニ氏が率いる、目下最も勢いのあるナポリブランド。時間をかけた丁寧な仕立てはもちろん、時代を先取りする生地提案力や新デザインの開発力も一頭地を抜いている。こちらは定番人気の「レオ」モデル。ベルトレスパンツでサルトリアテイストを加えている。 29万5000円(ビームス 六本木ヒルズ)

■SARTORIO/サルトリオ
華麗なるキートンの系譜
キートングループに属し、同社が誇る仕立てのノウハウを用いてモダンなナポリテーラリングを提案するブランド。しっかりと首に吸い付く着心地はさすがの一言だ。生地はシックなカーキのウールソラーロ。ほのかな光沢を湛えた織りの表情が大人なムードたっぷりだ。 25万4000円(ストラスブルゴ)

■DE PETRILLO/デ ペトリロ
ミニマル仕立ての現代派
ナポリのサルトリアで40年以上研鑽を積んできたベネデット・デ・ペトリロ氏によるブランド。軽く柔らかな伝統のナポリ仕立てをベースとしつつも、袖付けや襟周りなどは誇張なくクリーンに縫製されている。現代的なミニマリズムが宿る都会的な作風が魅力のブランドだ。 14万8000円(ストラスブルゴ)


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