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AI運用は人知を超えるか 海外株投信で検証 QUICK資産運用研究所 高瀬浩

2019/4/10

過去2年間の「グローバルAIファンド」と「GSグローバル・ビッグデータB」の運用成績をグラフでみると、「グローバルAIファンド」が「GSグローバル・ビッグデータB」を上回っていることが分かる。AIの分析に基づいて幅広い業種に分散投資するよりも、ファンドマネジャーがAI関連株に絞って銘柄を選んだ運用が奏功したといえそうだ。

「GSグローバル・ビッグデータB」の過去2年の運用成績は「ニッセイ外国株式インデックス」の値動きとほぼ重なり、海外先進国の株式市場平均並みとあまり変わらないようだ。これも組み入れ銘柄数を多くしていることが影響している可能性もある。

■「将来の有望銘柄の発掘にAIは不向き」の声も

AIなら膨大なデータを分析して有望銘柄を発掘するのはお手のもの、というわけにはいかないのだろうか。金融と関連したAIの研究に造詣が深く、投信の運用報告書に記載する市況コメントをAIで自動作成するシステムの開発などに取り組む東京大学の和泉潔教授は「AIが得意とする分野はAIに任せて、人は人にしかできない仕事に専念できるようにするのが、AIを活用した技術革新のあるべき姿」と指摘する。そのうえで「全く新しい観点から将来の有望銘柄を発掘するなど、過去や現在のデータを分析してもあまり役に立たないであろう分野でのAI活用は不向きだ。強いて言えば、超短期の株式売買ならAI技術をうまく利用できる余地があるのではないか」という見方を示している。

今後、様々な業界や分野でディープラーニング(深層学習)をはじめとするAI技術を駆使する動きは加速しそうだ。資産運用の分野でも膨大なデータを分析して、例えばこれまで人が気付かなかった決算数字と株価の動きの相関関係などが分かる可能性はあるが、現時点ではAIに人知を超えるような銘柄発掘能力があると考えるのは期待過剰かもしれない。

■海外株ファンド、人気に陰りも

ただ人気テーマというだけでファンドに飛びつくのは考えものだ。好成績を残している「グローバルAI」でも銘柄を絞り込んでいる分、組み入れ銘柄に思いがけない悪材料が飛び出して基準価格急落といったリスクはつきまとう。かといって短期で利益確定して別のテーマファンドに乗り換えたとしても、高めの手数料や運用コストを負担したまま高値づかみしてしまうリスクもある。運用テーマが目新しいほどこうしたリスクやコストを十分認識して売買するのが肝心になる。

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