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『カツベン!』の周防監督 平成に邦画が復活した理由

日経エンタテインメント!

2019/4/17

「その次の『Shall we ダンス?』も、社交ダンスの企画と言った瞬間に、え? そんなの当たるわけないじゃんという反応でした。だけどその映画がヒットして、(主演の草刈民代と)結婚もしたので生活も変わりました(笑)。アメリカをはじめ各国で公開されて、海外の人も面白がってくれましたね。『世界に通用する映画を』と大上段に構えず、自分の興味の範囲で作っていても、通じるものは通じるんだなと思いました」

『Shall we ダンス?』は日本映画復活ののろしに。しかし『それでもボクはやってない』を撮るまで、11年もの空白期間に入る。

「何本か企画はあったけど、うまく映画にならなかったという感じです。その間に、日本映画は大きく変わった気がしますね。

まずは、シネコンの出現です。それまで映画館は、東宝の映画なら東宝専門、東映の映画なら東映専門と分かれていたんです。でもシネコンは、客を呼べる映画なら上映する。何でもアリになったことで、『カメラを止めるな!』のようなインディーズ映画が広がる土壌もできました。そうしたなか、若者の興味が内向きになったのか、日本映画が本当に面白くなったのか、邦画の興行成績が洋画に負けないようになった。これは僕が監督になった頃には、まったく想像もできないことでした。

大手映画館チェーンがフィルム上映をやめたことも大きな変化です。例えば、それまでは200館公開ならその分のプリントが必要ですから、何本も焼き増すことになり、それが現像所とフィルム会社の大きな利益になっていた。だからこそ撮影現場で使うフィルム代はある程度サービスしてもらえた。でもフィルム上映がなくなったら、現像所もフィルム会社もそうはいかない。結果、フィルムはあらゆる面でコストがかさみ、デジタル化が一層進みました。

例えフィルムで撮ったとしても、編集はパソコンに取り込んでやるし、ネガを編集する必要もなくなって、ネガの編集者も仕事がなくなった。照明技師もフィルム時代のデリケートな技術を必要とされなくなり、『後でなんとかなりますから』と、『とにかく映っていれば良い』程度の仕事しか求められない。照明機材も変わりました。LEDのおかげで軽量、コンパクトになった上、光の強さや色味も自由自在に変えられる。照明部だけでなく、力仕事が多かった映画の現場に、女性スタッフも入りやすくなった。それも昭和と比べたら、大変化ですよ。

デジタル化の影響で、あらゆる面でプロとアマの垣根が低くなり、例えばiPhoneでも撮れるから、誰でもがすぐ監督になれる。かつては、ある程度の勉強と準備とお金が必要だったし、発表の場も限られていたけど今はネットもある」

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