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掛け捨ての保険は損? 死亡リスクに大きな備え

2019/4/13

写真はイメージ=PIXTA

生命保険への加入を考えています。保険には「掛け捨て」と呼ぶタイプがあるようですが、それだと保険料を払うのがもったいない気がします。掛け捨てではない商品のほうがお得なのでしょうか。

10年とか20年とか一定の期間内に死亡したりすると保険金が下りる商品を「定期保険」といい、掛け捨てタイプとも呼びます。期間が過ぎると保障はなくなり、払った保険料は戻ってきません。収入保障保険やがん保険なども掛け捨てタイプが主流です。

これに対して、保障が一生涯続く「終身保険」や、満期時に満期保険金が出る「養老保険」などは掛け捨てとは言いません。払った保険料の中から一定額が戻ってくるため有利なイメージがあります。

この点を考えるうえでは、自分が毎月払っている保険料が、どんな目的で使われているかを知る必要があります。

掛け捨てタイプの定期保険からみていきます。払った保険料は一部が保険会社の経費などに充てられます。そして残りは、契約者のうちの誰かが死亡したときの保険金として使われます。大勢の人が保険料を負担し合い、万一のときに保険金を受け取るという保障機能にあたる部分です。

保険金支払いに備えて保険会社は、集めた保険料の一部を積み立てます(図)。積立金(責任準備金)は少しずつ増えていき、やがて死亡者が増えていくのにつれて取り崩されます。保険期間が終わる頃に積立金はゼロになるよう設計されています。

次に終身保険や養老保険、についてです。払った保険料の一部が、保険会社の経費や、死亡保険金の原資になる点は定期保険と同じです。では何が異なるのでしょうか。

これらの保険商品は「貯蓄機能がある」と言われます。保険料の一部が資産運用に回るためです。国債などで運用し、事前に想定した収益分を上乗せして満期金などとして加入者に返す仕組みです。

加入者から見ると、自ら払ったお金が少しの運用益と併せて戻ってくる形です。保険料は運用に回す分を加味して計算するため当然、高くなります。積み立てられる金額も大きくなります。

■貯蓄の機能なし

定期保険の場合は保険料の中に運用に回る分はほぼありません。貯蓄機能を持たない分、保険料を低く設定できます。つまり、安めの保険料で厚めの保障を得られるわけです。チューリッヒ生命のアクチュアリー、野口俊哉さんは「保険本来の保障機能を重視した商品」と話します。

資産運用なら例えば自分で個人向け国債を買う方法もありますが、多額の保障を1人で準備するのは困難です。定期保険は結果的に保険料が掛け捨てになることはあるにせよ、それは無事だった結果でもあります。安心を買うためのコストと考えれば損得で語れない商品だと言えます。

[日本経済新聞朝刊2019年4月6日付]

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