スイーツビュッフェも登場 イベント化進むイースター
イエス・キリストの復活を祝う記念日、「イースター(復活祭)」。クリスマスやバレンタインデーと違い、イースターは毎年同じ日というわけではない。春分の日の後の満月から数えて最初の日曜日と定められ、2019年は4月21日となる(宗派によっては異なる場合もある)。
このシーズンに合わせて、商品開発のモチーフとして活用したり、イベントを開催したりする企業は日本でも増えている。同時に日本ならではの展開も広がっているようだ。
増える春ギフト需要
毎年日付が変わるイースターだが、日本では基本的に年度の変わり目に重なる。「卒業、旅立ち、出会いなど人生の節目に、喜びや感謝の思いを込めてイースターチョコレートを春ギフトとしてお贈りする方が年々増えてきました」というのは、スイスのチョコレートブランド、リンツの日本法人リンツ&シュプルングリージャパンでマーケティング&PRを担当する細井恵さん。
1845年創業のリンツは、イースターの時期になると、ウサギの形をしたミルクチョコレート「リンツ ゴールドバニー」を販売している。19年はデコレーションを施した、イースターエッグ型のカップ入りケーキ「リンツ ゴールドバニー イースターケーキ」を都内5店舗限定で販売中だ。
イースターといえば卵やウサギといったモチーフを思い浮かべる人も多いだろう。卵は生命の始まり、ウサギは子だくさんなので豊穣(ほうじょう)を意味するといわれている。
「春になると天気がよくなって、家族で集まって食事をするのですが、そのときに、庭に親が卵やウサギの形をしたチョコレートを隠すんです。たくさん見つけた子がたくさん食べられるので競争になる」と教えてくれたのはラ・メゾン・デュ・ショコラのシェフ・パティシエ・ショコラティエの二コラ・クロワゾーさん。
最近はフランスでもクリスマスに定番のブッシュ・ド・ノエル以外のケーキが増えるなどの変化が見られるそうだが、クロワゾーさんによると「イースターに関してはモチーフを模したチョコレートが主役というスタイルに変化はない」らしい。そんなラ・メゾン・デュ・ショコラが19年に販売するのが、カカオの産地である3つの大陸をモチーフにした仮面型のチョコレート「マスク ドゥ パック」だ。「イースターで避けて通れないのが卵。卵の形の仮面にしてイースターだということがわかるようにしています」(クロワゾーさん)
卵とウサギという2つのモチーフを組み合わせた菓子もある。パークハイアット東京は、卵にうさぎの耳がついた「イースターバニー」を21日まで発売。復活祭の間に羊を食べる習慣に由来する子羊型の焼き菓子「アニョーパスカル」も販売されている。
春らしい演出ができる
女性に人気のスイーツビュッフェにも、イースターをテーマとしたイベントが増えてきた。
今年初めてイースターをテーマにしたスイーツビュッフェ「いちごイースターハント」を、オールデイダイニング「セリーズ」で5月6日まで実施しているのはコンラッド東京。旬の国産いちごをふんだんに使った春らしいスイーツビュッフェだ。
ラ・スイート神戸オーシャンズガーデンでも今年初めてイースターをテーマとした「Easter Sweets Buffet ~Spring Picnic~」を日数限定で開催中(3月26日、27日、4月23日、24日、25日)。たまごやうさぎをモチーフにした色とりどりのスイーツが用意される。
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイでは「アリスのイースター デザート&ランチブッフェ by Junji Tokunaga」を、4月から5月限定で開催。エグゼクティブ シェフ パティシエ徳永純司さんによる「不思議の国のアリス」をテーマにしたビュッフェでは、アリスの物語にも登場するウサギが草むらで卵を探しているシーンを再現している。
記事「4月1日は魚のお菓子を ポワソンダブリル拡大中」で取り上げた「サー ウィンストンホテル 名古屋 by ストリングス」の「ピクニック ランチデザートブッフェ」「ピクニック デザートブッフェ」も「ピクニックとイースター」がテーマのビュッフェだった。
ビュッフェのテーマにイースターを選んだ理由について、「魅力的な食材に加えて、トレンドや季節の要素が入る」と説明するのはコンラッド東京の大平美沙子さん。「去年、おととしと日本の市場でもイースターが盛り上がっていたこともあり、ターゲットである女性客に響くのではないかとも考えました」
「見た目もかわいらしく、春らしさも演出できること」も選んだ理由の一つだという。ディスプレーもパステルカラーやイースターエッグを使い、季節感あふれる演出を心がけている。そういう意味で、「インスタ映え」を求めている人たちにとって、カラフルでキャラクターが明確なイースターは絶好のテーマなのかもしれない。
(文 北本祐子)
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