もうキャリアにあがりなし 会社で「資産」どう増やす20代から考える出世戦略(56)

 実は、もっとも一般的な資産は子孫でした。大家族時代には、子孫を育てて彼らに養ってもらえる状態をつくりあげることが一般的なあがりでした。これらは関係性に基づく信用資産と言えるでしょう。今でも「血のつながり以外は信用できない」と公言する方々は少なからず存在します。関係性とはそれほど大事なものなのです。

 また、自分自身の技術や経験を資産として活用できた人もいました。いざというときには手を動かせばなんとか稼ぐことができる、というのは大きなリスクヘッジになりました。いわゆる「昔取ったきねづか」ということわざがまさにそうです。

 その他には金銭・金融資産もあれば、不動産資産もあれば、事業などの資産もありました。

 これらの資産はすべて、自分自身が現役として活躍する中で蓄積し、生み育てたものです。

 それらがあがりのあとの生活を担保してくれたわけです。

 今でもこれらの資産を蓄積することはもちろん可能です。ただ、あがりが難しくなった背景には、これらの資産が目減りしやすくなったという事情があります。

生活を担保してくれる確実な資産は減っている

 金融資産や不動産資産は中長期で見れば比較的目減りしづらいものです。しかし〇〇ショックのような大きな変動が来れば決して安泰ではありません。今や世界中で情報が瞬時に行きかう時代です。そんな中、金融資産や不動産資産の価値は、国内の景気動向だけでなく、世界各国の情勢に左右されるようになりました。

 事業を成功させることはわかりやすい資産を形成します。事業を子孫に譲渡してゆけば、自分自身だけでなく、家族全員の生活を担保できるようにしてくれます。しかしこちらでも後継者不足による事業承継が話題になるように、多くの事業が存続の危機に陥っています。その主な理由は事業そのものが環境変化に対応しきれない状況がうまれやすくなったことです。一例をあげれば、印刷業はかつて設備機器さえあれば零細でも十分に収益を上げることができたビジネスですが、紙そのものが使われなくなってきたため、事業存続そのものが危うくなってきています。そんな風に、昔うまくいっていたというだけではじり貧が見えているので、だれも後を継ぎたがらないということも増えてきました。

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資産が目減りするなら新しく作るしかない
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