SDカードリーダーは仕様に注意 新規格が次々登場
SDカードの規格はかなりややこしい。カードの形状や容量に応じた名称に加え、読み書き速度の目安となる規格が複数あるためだ。さらにデータ転送路(バス)の速度に関する規格もあり、複雑怪奇を極める。
SDカードは標準サイズのカードと、それより小型のマイクロSDカードの2種類がある。デジタルカメラやビデオカメラなど比較的大きな製品ではSDカードを、スマートフォン(スマホ)やドローン、音楽プレーヤーなど小型の製品ではマイクロSDカードを使う傾向がある。
SDカードとマイクロSDカードは、大きさと重さ、書き込み保護スイッチの有無以外、違いはほとんどない。両者は互換性があり、マイクロSDは変換アダプターを介してSDカードとしても使える。変換アダプターも簡単な作りで、マイクロSDの製品に付属していることが多い。なお、以前はSDカードとマイクロSDの中間くらいの大きさのミニSDカードという規格もあったが、現在はほとんど使われていない。
SDカードは容量によって規格とそれに伴う名称が異なる。2ギガ以下はSDカード/マイクロSDカード、4ギガ以上で32ギガ以下はSDHCカード/マイクロSDHCカード、64ギガ以上で2テラ以下はSDXCカード/マイクロSDXCカードと呼ぶ。2テラ超は、SDUCカード/マイクロSDUCカードと呼ぶが、現在は対応製品がほとんどない。
現在売られているパソコンや外付けカードリーダーのほとんどが、SDXCに対応する。図の規格は後方互換性があり、SDXC対応ならSDUC以外のカードをすべて読み書きできる。ただし、古いパソコンや旧式の外付けカードリーダーの場合、大容量の規格に非対応のケースがあるので注意しよう。大容量カードを使う際は、カードリーダー側の対応を確認したい。なお、現状でカードの最大容量は1テラだ。
3種類のスピードクラスに注目
SDカードやマイクロSDのラベルには、多数のアイコンが記載されている。これらの大半は読み書き速度の目安となる規格だ。そのうち「スピードクラス」という名前が付いた3種類は、どれも最低保証の書き込み速度を表す。いずれも数値が大きいほど最低保証速度が高い。複数のスピードクラスを併記しているカードもあるが、SDHC以上では「UHSスピードクラス」と「ビデオスピードクラス」を参考にするとよい。
「I」や「II」などローマ数字のアイコンはバスインタフェースという規格で、機器とSDカード間の最大転送速度を表している。現在売られている大半のSDカードは「UHS-I」で、高速タイプの一部カードのみ「UHS-II」を採用している。「UHS-III」や「SDエクスプレス」などさらに上位のバスインタフェースもあるが、現状では製品がほとんどない。
UHS-II以上の製品は通常のSDカードよりも接点が多い。このため、UHS-II以上に対応するカードリーダーでないとUHS-II対応製品の性能をフルに発揮できない。
マイクロSDカードに記載されている「A1」「A2」は「アプリケーションパフォーマンスクラス」と呼び、ランダム読み書き性能を示す。A2のほうが高速で、スマホやタブレットなどで使う際の目安になる。
パッケージに「MLC」とある高耐久品はメモリーが違う
高耐久タイプのSDカードは、利用するフラッシュメモリーのタイプが異なる。通常の製品は「TLC(トリプルレベルセル)」だが、高耐久タイプは「MLC(マルチレベルセル)」と呼ばれるNAND型のフラッシュメモリーを採用している。TLCは1つのメモリー素子に3ビットを記録するので大容量化しやすい半面、メモリー素子へのアクセス回数が増える。
一方、MLCでは1つのメモリー素子に2ビットしか記録しないため、TLCよりも記録密度は低いが、その分、メモリー素子へのアクセス回数が少なくて済む。これが長寿命、高耐久といわれるゆえんだ。MLCの製品であれば、パッケージにその旨が記載されていることが多い。
1ギガ単価が安いのは64ギガ、マイクロSDのほうが安い
以下の図に2019年3月上旬現在のSDカードとマイクロSDカードの価格分布を示した。1ギガ当たり単価が最も安いのはともに64ギガ製品で、安価なものなら1000円以下で購入できる。次に安いのは128ギガと32ギガ。16ギガ以下の製品は価格がほぼ横ばいなので、よほどの理由がない限り、選ぶ必要はないだろう。SDカード、マイクロSDカードともに、256ギガ以上の製品はまだ高価だ。また、高速タイプや高耐久タイプなど、付加価値がある製品は高い。
[日経PC21 2019年5月号掲載記事を再構成]
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