「いきなり社長面接」で逸材 ミスマッチ防ぐ採用戦略『最高の組織』大賀康史氏

コンサルティング会社2社で計10年間、経営コンサルタントとして経験を積んだ。当時、クライアント企業の組織改革に携わる機会もあったが、大賀氏本人はあまり気乗りがしなかったそうだ。小手先の組織いじりで根本的に社風や業績が変わることはまずなかった。2013年にフライヤーを設立してからの経営体験は、組織運営の大切さをさらに深く考える機会ともなった。企業トップとして働き手と接するようになってさとったのは、「働き手それぞれの気持ちは異なる。個別に向き合うしかない」ということだった。

興味の強い分野で主体的に挑戦

フライヤーが人材育成で重視しているのは、「興味の強い分野をしっかりと把握して、主体的にチャレンジしてもらう」という点だ。「人それぞれ生きる目的は違う」という前提に立って、働き手が大切にしていることに合わせる格好で、会社の仕事をうまくアレンジしていくのが好ましい業務設定ととらえている。細かいチューニングや丁寧な目配りが求められるが、そうした仕事アレンジを通して、各自の才能を十分に発揮してもらい、会社はその恩恵を受ける。会社を上司やチームリーダーに置き換えれば、多くの職場で応用が利きそうだ。

転職する際のマインドセッティングにも本書の提案は有益だろう。エージェントを通じて転職者を迎える企業は、社風や職場に早くなじんで、能力を発揮してくれることを望んでいることが多い。大賀氏の重んじるカルチャーフィットが実現しそうかどうか、転職先候補の社風やビジネス環境を見極めるのは、「こんなはずではなかった」という後悔を避ける効果がありそうだ。

転職先ではイノベーションのきっかけになることも期待されている。自分が人生で大事にしていることを、転職前からはっきりさせれば、転職先でのモチベーションを高めるために、その人生目標をエンジンに使える。前任者の穴埋めや人手の追加ではなく、独自のパフォーマンスを発揮するうえでも、「興味の強い分野」を深掘りするアプローチは役に立つはずだ。

大賀康史
フライヤー 代表取締役CEO。2003年早稲田大学院理工学研究科機械工学専攻修了。03年、アクセンチュア製造流通業本部に入社。同戦略グループに転属後、フロンティア・マネジメントを経て、13年にフライヤーを設立。共著に『7人のトップ起業家と28冊のビジネス名著に学ぶ起業の教科書』『ターンアラウンド・マネージャーの実務』がある。

最高の組織──全員の才能を極大化する

著者 : 大賀 康史
出版 : 自由国民社
価格 : 1,620円 (税込み)

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