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謎だらけの地底 エベレストより高い「山」を発見

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ナショナルジオグラフィック日本版

地底には確かに山が存在した。まるでジュール・ヴェルヌの小説「地底旅行」のような話だが、ただし、これまでどのSF作家が描いてきた世界とも違い、その山は地球内部の層構造の一部である。

複数の巨大地震による地震波を分析した最新の研究で、地底の山の鮮明な姿が明らかになった。2019年2月15日付けの学術誌「サイエンス」に発表された論文によると、地下660キロメートル付近の、マントルの上部と下部を隔てる境界面に沿って巨大な山々が連なっており、中にはエベレストより高い山もあるという。

山はただ高いだけでなく、驚くほど起伏に富んでいた。この研究結果から、太陽系でなぜ地球だけが特殊な存在なのかを説明する手がかりも得られそうだ。

「基礎的な発見はほぼ終わっていて、後は細かいことを付け加えるくらいしかないと思っている人はたくさんいます」と、東京工業大学地球生命研究所のクリスティーン・ハウザー氏は言う。だが、この研究が示すように「私たちが住む地球内部については、まだ基礎的発見の余地が残されています」。

マントルはフルーツヨーグルト

地球の体積の約84%を占めるマントルは、地質のリサイクルセンターだ。マントルの緩やかな対流がプレート運動を起こし、表層の地殻プレートを地下深くへと押し込む。そして別の場所では地下からマグマが上昇し、地表に噴出する際に地下深くの鉱物を一緒に外へ吐き出す。

「生命の進化はほぼすべて、この地表からの物質の流動に依存しているといっていいでしょう」。英インペリアル・カレッジ・ロンドンの地球深部地震学者であるエリザベス・デイ氏は言う。「プレートが地下へ潜り、火山が噴火する。これらすべてが、地球で起こっている循環を支えています」。なお、デイ氏はこの研究には参加していない。

だが、マントルがどの程度対流し、混じり合っているのかまではよくわかっていない。これは例えば、カップの底にジャムが入っているヨーグルトをかき混ぜたときに、ジャムとヨーグルトがどんなふうに混じり合うのかというような話で、いま得られるデータからその状態を知るのは難しい。

同時に、これは重要な問題だ。というのも、太陽系にある他の岩石天体と比べると、地球には一部の元素が足りないようなのだ。例えば、コンドライトと呼ばれる石質隕石は、太陽系が形成された当時の惑星の名残と考えられている。もしそうであれば、地球の岩石と組成が似ているはずなのだが、地球の上部マントルは、コンドライトとは対照的にマグネシウムに対してケイ素の量が少なすぎる。

「光の反射に似ています」

この違いにマントルの対流が関わっている可能性がある。鉄など、地球に「足りない」とされる元素のいくつかは、地球の核のなかに閉じ込められていると思われる。だが、他の元素はどこに隠れているのだろうか。問題は、あまりに深い地下のことなので、何があるのかを突き止めるのが困難なことだ。

地震波を使った過去の研究では、地下660キロメートルあたりを境に、その下の岩石の方が上の岩石よりも密度が高いことが示唆された。また、マントルから地表に噴き出した火山岩の化学組成からも、手がかりは得られる。

その結果、地球の内部はよく絵に描かれているような黄色と赤色の層とは大きく異なっていることがわかった。上部マントルには明るい緑色のかんらん石が多く、地下660キロメートルにある境界のすぐ上は、青い鉱石が混じった濃紅のガーネットで、その下は土色のブリッジマナイトでできていた。

密度の変化は、元素の配列が変わり、結晶構造が異なるためという点は、多くの専門家が同意している。論文筆頭著者のウェンボ・ウー氏は、グラファイトが高圧と高温でダイヤモンドに変化するのに似ていると説明する。ウー氏は、米プリンストン大学博士課程在籍中に今回の研究を率いた。現在は、米カリフォルニア工科大学の博士研究員だ。

しかし一方で、化学組成が違うという見方もある。米ワシントン大学の地震学者ジャッキー・カプラン・アウアーバック氏は「マントルの様子がわかるサンプルが少ないため、たぶん地球が何でできているかを理解するのが難しいのです」と述べている。

そこでウー氏の研究チームは、巨大地震によって発生する地震波を解析して、地球深部の様子を探ることにした。ウー氏はこれを、鏡に反射する光に例える。鏡が完全に平らであれば光はきれいに跳ね返るが、鏡の表面に凹凸があると反射した光は散乱する。

「光の反射に似ています。違うのは地震波を使ったという点です」とウー氏。具体的には、地球全体をベルのように震わせる大きな地震の地震波が、伝わって跳ね返ったときに散乱する様子を分析して、内部構造を明らかにする。研究チームは、マグニチュード6以上で、ある程度深い場所で発生した地震の地震波データを集めた。

混ざらないから起伏が残る

分析結果は意外な情報をもたらした。マントルの境界に、驚くほど起伏の激しい場所があることがわかったのだ。正確な高度を測るのは難しいが、ウー氏は上部と下部マントルに何らかの化学的な違いがあるからではないかと話す。

論文の著者らは、起伏が激しいのは地下へ潜り込んだプレートが蓄積したためではないかと考えている。地表の沈み込み帯では、一枚のプレートが別のプレートの下に沈み込み、細かく砕けてさらに深みへ落ち込んでいく。その一部が、深さ660キロの境界あたりに大量に蓄積し、激しい凹凸を形成しているようだ。

つまりこの部分は、上下マントルが混合していない部分だと考えられる。他の境界部分は起伏が少ない。すなわちよく混じり合っていると思われ、全体として、マントルには混じり合っている部分とそうでない部分があることが示唆される。

さらに論文は、この起伏の激しい境界の下に、地球に「足りない」元素が閉じ込められているのではないかとも示唆している。ハウザー氏が説明しているように、下部マントルの一部は地球が誕生したばかりのころからほかの何かと混じり合うことなく、化学物質を地下深くに閉じ込めている可能性がある。問題は、この現象がどのぐらいの期間、続いたかがわからないことだ。

「現在の地球内部が何百万年前と同じだとは限りません」と、ウー氏は言う。

それでも、論文が掲載された「サイエンス」誌の別の記事「News and Views」の中でハウザー氏が書いている通り、興味をそそる手がかりではある。マントルの一部は確かに活発に対流しているが、「下部マントルは保管庫のようになっていて、地球創世期の頃の遺物をそのまま保存しているかもしれません」

(文 Maya Wei-Haas、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年3月28日付]

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