父が娘に語る経済の話 シンプルな言葉で本質に迫る紀伊国屋書店大手町ビル店

娘との個人的な体験が織り込まれることもあるし、古代ローマのエピソードが現代のオークションとの対比で語られたりもする。「オイディプス王」や「ファウスト」「クリスマス・キャロル」といった文学作品、「ブレードランナー」や「マトリックス」といったSF映画なども巧みに引用されて、読み手をどんどん経済の本質の謎解きへと引き込んでいく。

そこに描き出されるのは、今日の市場社会が抱える本質的な問題点は何かということだ。市場に委ねればすべてうまくいくといった考え方では、問題点は解決できない。250ページほどの読みやすい本なのに、著者が突きつけてくる論点は、限りなく重い。

「『FACTFULNESS』ほどではないが、店頭で動きがよく、普通に売れている」と、ビジネス書を担当する西山崇之さんは言う。経済書なのにわかりやすく面白いという触れ込みがきいているようだ。

『入社1年目の教科書』が6位に

それでは、先週のビジネス書ランキングを見ておこう。今回はベスト10まで紹介する。

(1)ライフデザイン力池田弘著(東京書籍)
(2)一流になりたければ、その「色」を変えなさい。庄島義博著(きずな出版)
(3)1万2000人を見てわかった!お金に困らない人、困る人松尾昭仁著(集英社)
(4)FACTFULNESSH・ロスリングほか著(日経BP社)
(5)「10%消費税」が日本経済を破壊する藤井聡著(晶文社)
(6)入社1年目の教科書岩瀬大輔著(ダイヤモンド社)
(7)父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。ヤニス・バルファキス著(ダイヤモンド社)
(7)直観と論理をつなぐ思考法佐宗邦威著(ダイヤモンド社)
(7)働き方2.0vs4.0橘玲著(PHP研究所)
(7)両利きの経営C・A・オライリー、 M・L・タッシュマン著(東洋経済新報社)

(紀伊国屋書店大手町ビル店、2019年3月25~31日)

1~3位の本はまとめ買いによるランクイン。4位の『FACTFULNESS』が店頭売り上げのトップだ。6位は新入社員向けの定番のスキル本。この時期ならではの売れ筋だ。同率7位が4冊あって、そのうちのひとつに今回紹介した本が入った。

(水柿武志)

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