訪日客の子に水墨画など京文化体験 親はゆっくり観光京都市 たおやかカンパニー

3月末に開催したイベントでは訪日客と地元の子供らが一緒に遊びを楽しんだ
3月末に開催したイベントでは訪日客と地元の子供らが一緒に遊びを楽しんだ

訪日外国人(インバウンド)向けのサービスを手掛けるたおやかカンパニー(京都市)は来春をめどに、ホテルの一室などを使ってインバウンドの子供を預かり、異文化体験などを提供する事業を始める。地元の京都周辺で子育てをしている母親が付き添って面倒をみる。親は観光中に子供を安心して預けられる。

たおやかカンパニーは京都を中心に英語などが話せる母親を30人ほど束ね、子供を預けたいインバウンドとマッチングする。子供を見守る傍ら、水墨画体験や和風の工作、寺を活用した文化体験などを提供する。「外国人は旅行中に子供を預けることへの抵抗が少ない。シッターを呼んだり保育園に預けたりする人もいる」(赤坂美保代表)

インバウンドが増える中、観光と女性活躍をつなげられないかと考え、子連れの観光客と京都にいる母親の組み合わせを思い付いた。実際、2児の母でもある赤坂代表が子供を連れて歩いていると「人混みに疲れた子供や、観光に飽きてしまった子供らと一緒に公園で時間をつぶしている外国人が何人もいた」という。

そこで3月から京都市内の2カ所で水墨画体験や寺の廊下での床拭きのなどの文化体験を提供するサービスを試行。対象は主に5~12歳で、寺の場合は親子それぞれに合わせた体験も用意する。「旅行中も夫婦だけでゆったり過ごしたい」「子供にも日本ならではの経験をさせたい」という親の希望に応える。

来春にはホテルなどと連携した子供の預かりも目指す。ホテルの一室やロビーを使い、文化体験に加えて地元の子供との交流の機会を設ける。インバウンドにとって、日本での忘れられない体験の一つとなり、「地元の子供らにとっても貴重な経験になるのでは」(赤坂代表)と期待する。

ホテルとしても、子ども向けサービスを提供することで他社との違いをアピールできる。京都府内ではホテルが相次ぎ開業しており、価格以外の点でどう付加価値を高めるかが問われている。「すでにホテルからの問い合わせがあり、宿泊先と連携すれば当社のサービスを知ってもらう接点も増える」(赤坂代表)

従来も旅行客の子供を受け入れる保育園や、ベビーシッターを手配するホテルはあるが、予約が必要だったり、外国語に対応できなかったりするケースが少なくない。赤坂代表は「外国で子供を預けるのは心配だろうが、同じように子育てをし、外国語も話せる母親に預けることで、安心して日本の観光を楽しんでもらえたら」と話している。

たおやかカンパニーは2018年5月に京都市で設立した。創業者の赤坂代表はゲームメーカーや通信会社で海外事業やM&A(合併・買収)などを手掛け、京都外国語大学の観光学科の創設にも携わった。

(岡田江美)

[日経産業新聞2019年4月4日付]