国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、「日本の実質国内総生産(GDP)は、現状の政策のままだと直近の成長推移に比べ、40年後に25%減少する」と試算し、警鐘を鳴らした。働く女性のためのメディアプロジェクト『日経xwoman』は、IMFによる分析と、日本の経済成長率減速を逃れる打開策を聞いた。
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(c)IMF、日経xwoman編集
女性のエンパワーメント(活躍の機会を広げること)の促進は、私やこの分野のエコノミストにとっては当然のことです。女性のエンパワーメントは経済成長を促し、経済の強靭(きょうじん)性を高め、所得格差の解消にも貢献し、経済の多様化にも役立ちます。
日本の経済はとても革新的ですが、女性のリーダーシップとエンパワーメントによって、さらに良くなることが期待できます。
現状の政策では、40年後に日本の実質GDPは25%低下する恐れ
2017年の日本のデータを見ると、管理職に占める女性の割合はわずか13%でした。上場企業の役員に至っては4%未満です。
それに加えて、女性の平均所得は男性の4分の3以下でした。これは主要7カ国(G7)では最大の男女格差です。
IMFの研究によると、政策が現状のままだと40年後には日本の実質GDPは25%低下してしまう恐れがあります。この理由は、人口減少と少子高齢化によるものです。
このような日本の経済鈍化の予測を見ても、女性の社会進出を促し、能力を高めることは大変意義があります。もし日本が女性の活躍推進を含め、労働力全体の強化などを重点とするさまざまな改革を実行すれば人口減少や少子高齢化のマイナス影響を跳ね返し、40年後には実質GDPを15%伸ばすことができると予測されています。

では、人口減少や少子高齢化のマイナス影響を跳ね返し、15%回復させるためには、具体的に何をすればよいのでしょうか?