景気腰折れせず 株式総悲観から大転換へ(武者陵司)武者リサーチ代表

まず米景気はIT(情報技術)関連企業を中心に企業業績が堅調に推移し、19年6月に史上最長の景気拡大を更新すると予測している。マクロ景気指標も好転し、マーケットでは好ファンダメンタルズに焦点が当たるだろう。史上最長の景気拡大をもたらした米国経済の本質的強さとは何なのかに議論が集中し、投資家心理を強めるだろう。

米金利は依然低水準、景気にプラス

第2に景気後退のシグナルとされる長短金利の逆転に懸念が出ているが、これも杞憂である。これまでの逆イールド化はインフレ高進→短期金利上昇→逆イールド化というパターンだったが、今回は低インフレ→米連邦準備理事会(FRB)の緩和スタンスによる長期金利下落→逆イールド化という経路となっている。また過去の長短金利逆転からリセッションになった時期と今回は金利のレベルが全く違う。かつては長短金利は名目国内総生産(GDP)成長率を上回る水準まで上昇した。現在は長短金利とも名目GDP成長率の半分程度であり、資本コストは依然として景気とリスクテイク促進型である。

第3に米中貿易協議は早晩米国が納得できるかたちでまとまり、中国景気にも浮揚感が出てくるだろう。株価は一般的に景気や企業業績に先行して動く特徴がある。対中売り上げがほぼ50%を占める米国半導体企業の株価や、上海総合指数が18年3~4月の水準近辺に回復したことを考えると、米中摩擦や中国経済の先行きを過度に悲観的にみる必要はないだろう。

第4に英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)は、マーケットはすでにすべてのシナリオを織り込んでいる。結論が出れば不確実性は消え、中国経済の好転でドイツ経済の不安もなくなりそうだ。英国の対EU及び非EUの経常収支、貿易収支、サービス収支を分析すると英国はEUにとって大いなる顧客だ。ブレグジットで困るのはむしろEUの側である。EUは関税調整などを通して対英輸出が減らないよう配慮せざるを得ない。または為替(ポンド高ユーロ安)で調整され、経済への深刻なダメージは回避されるのではないか。

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