くらし&ハウス

デンシバ Spotlight

100メートル9秒3超えも 人類最速への道は四足歩行?

2019/4/9

四足走行のギネス記録を持ついとうけんいち氏(3月28日、東京都内)

開幕まで500日を切った東京五輪では、人類が限界を超える姿を目撃するのも楽しみのひとつです。中でも100メートル走やマラソンなど陸上の新記録には、注目が集まります。科学や進化の観点から人間が速く走る方法を専門家に聞きました。

まずはウサイン・ボルト氏が2009年に出した100メートル走9秒58の世界記録は更新できるでしょうか。日本体育大学の阿江通良教授は「ポイントは終盤の減速にある」と話しています。100メートルを走る選手の瞬間速度は60~70メートルでピークに達し、以後はゴールまで減速してしまいます。どんな選手も「筋肉などが100メートルの途中で限界に達するため」(阿江氏)です。体のどの部分が限界に達するかは選手によって異なり、科学的に未解明な点も多いそうです。

ボルト氏の走りも加速は世界最高峰でしたが「減速局面には改善の余地があるかもしれない」(同)とみられます。一流選手の加速と減速のデータを集め、全てが完璧な選手を想定すると、人類は9秒3台まで記録を縮めることができるそうです。

「9秒3も切れる」という論文を16年に発表したのは、神奈川大学の衣笠竜太教授です。ただし記録は二足走行ではなく、四足走行によって生まれると唱えています。人類は数百万年かけて四足から二足歩行に移行しましたが、衣笠氏は「進化の過程で速く走る能力を失ったのではないか」と考えています。

衣笠氏の研究を実践に移しているのが、100メートルの四足走行でギネス記録(15秒71)を持ついとうけんいち氏です。「チーターなど速い動物はみな四足」という信念から十数年の訓練を重ねてきました。いとう氏によると記録更新への最大のポイントは「背筋です」。チーターのように背筋がしなれば、強い推進力が得られるそうです。

ちなみにいとう氏も「長距離は二足走行が優位」と認めています。最近の研究では、人類が長距離を走って食物を得る能力を、進化の過程で獲得してきたことが明らかになっています。

マラソンの世界記録2時間1分39秒の更新は可能でしょうか。日体大の杉田正明教授は「カギはグリコーゲン」と話しています。マラソンは脂肪など体内の様々な物質を燃やして走破しますが、最も燃費のいいエネルギー源は糖分の一種であるグリコーゲンです。

くらし&ハウス 新着記事

ALL CHANNEL