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日向坂46 けやき坂46が改名、強みは笑顔と幸せ感

日経エンタテインメント!

2019/4/12

けやき坂46が2019年2月11日のSHOWROOMの生配信中に、3月27日の単独シングルデビューと「日向坂46」への改名を発表した。シングルデビューを果たした坂道シリーズの女性アイドルグループとしては、乃木坂46(12年2月)、欅坂46(16年4月)に続く3組目となった。

日向坂46を代表して改名を発表した、写真左から佐々木美玲、齊藤京子、小坂菜緒、加藤史帆、柿崎芽実、佐々木久美の6名

3月27日発売の1stシングル『キュン』は初週売り上げ47.6万枚で初登場1位に。「女性アーティストの1stシングルによる初週売り上げ枚数」歴代1位を塗り替える好スタートを切った(いずれもオリコン調べ)。

けやき坂46の結成の経緯は特殊だ。欅坂46のオーディションを受けた長濱ねるが、親の意向で最終審査を辞退した。だが本人の強い意志で、改めて欅坂46入りを熱望。アイドルとしての逸材、長濱の受け皿として「けやき坂46」が生まれ、そこに他のメンバーがオーディションにより加わった。

日向坂46への改名を発表した瞬間は、メンバーたちが椅子から立ち上がり大興奮

その生い立ちと、「ひらがなけやき」という通称はあったものの、読みは欅坂46と全く同じなため、欅坂46のメンバーがステージに立てないときの代役を務める、アンダーメンバーによるグループと誤解されてしまうことも多かった。また、楽曲も欅坂46のシングルにカップリングで1曲のみ「けやき坂46」名義の曲が収録されるだけの状況が続いた。

そうしたなか、17年8月に2期生が加入するも同年9月に、そもそもの結成の理由だった長濱が欅坂46に専任することが発表。けやき坂46はその存在意義を問われる苦境に立たされた。

■急遽任された武道館公演

そんなけやき坂46の最初のターニングポイントは18年1月からの「けやき坂46日本武道館3Days公演」。当初は初日のみの出演予定だったが、欅坂46の平手友梨奈のケガもあり、急遽3日間連続での公演を任された。自分たちの楽曲は数曲しか持たないなか、欅坂46の楽曲のカバーも織り交ぜ、見事に笑顔でのパフォーマンスを貫き通し、連日チケットはソールドアウト。その成功から、彼女たちの表情も自信にみなぎりはじめる。クールでどこか影のある欅坂46とは異なる、笑顔あふれるグループカラーも明確になった。

続く転機は、同年4月からの冠バラエティ『ひらがな推し』(テレビ東京・現『日向坂で会いましょう』)のスタートだ。日曜日深夜に乃木坂46と欅坂46の冠バラエティに続く時間帯での放映で、多くのアイドルファンがけやき坂46を認識。番組での司会のオードリーとの掛け合いを通して、同年6月にキャプテンに就任した、まとめ役の佐々木久美、ラーメンが大好きで歌がうまい齊藤京子など、個々のキャラクターもより浸透していくきっかけとなった。

強みは3年間で鍛え上げたライブ力。「デビューカウントダウンライブ!!」は「けやき坂46」の楽曲をリリース順にパフォーマンスした後、1stシングル『キュン』など日向坂46の幕開けを飾る、2部構成のセットリストだった

同年6月には『走り出す瞬間』でアルバムデビュー。3形態のCDには18曲もの新曲が収められ、自身の楽曲のみでライブが成立するように。これらの楽曲を引っさげ夏の全国ツアーを開催、同年12月には2度目の日本武道館3日連続公演「ひらがなくりすます2018」を満席にした。

満を持してシングルデビューを手にした日向坂46。その強みは、約3年間にわたる長い下積み期間に鍛え上げたライブ力にある。楽曲名にもなっている“ハッピーオーラ”あふれるステージは、レッスンを積み重ねたパフォーマンスと、冠バラエティで培ったMCを余すところなく発揮する場になっている。シングルデビューに先駆け、3月5、6日には過去最大規模となる横浜アリーナ(約1万7000人収容)での「デビューカウントダウンライブ!!」を開催。ステージサイド席や立ち見の追加販売も行うほどの盛況となり、これまでの紆余曲折を経てきた思いを、一気に爆発させるステージとなった。

2019年2月13日現在。※1名は学業のため休業中

また、日向坂46には欅坂46の平手のように絶対的なエースが存在しないのも特徴だ。23歳から、昨年12月にお披露目となったばかりの唯一の3期生・14歳の上村ひなのまで全メンバーが一丸となり、お互いを補い合う“全員プレー”を感じさせる雰囲気も、ならではの魅力といえるだろう。

改名と共に発表になったグループカラーは、ライブでの人気曲、『誰よりも高く跳べ!』を想起させる“空色”だ。シングルデビューにより歌番組などの出演が増えれば、女子アイドルグループの原点といえる、笑顔とハッピー感を武器に、これからも新たなファンを生み出していくだろう。

(日経エンタテインメント! 伊藤哲郎)

[日経エンタテインメント! 2019年4月号の記事を再構成]

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