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問題解決に必要な「本質把握力」を鍛えるためのメソッドがまとめられている

問題解決に必要な「本質把握力」を鍛えるためのメソッドがまとめられている

伝えたつもりでも、伝わっていなかった。間違った因果関係に気づかなかった……。ビジネスの現場では、コミュニケーション不足に関連する悩みが日常的に起こる。こうしたトラブルの背景には、しばしば「本質的な解決を妨げるワナ」が隠れている。本書『本質思考トレーニング』は、ワナから脱出するメソッドを学ぶための指南書だ。豊富な実例を示しながら、問題解決へつながる思考力の鍛え方を紹介している。

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米澤創一氏

米澤創一氏

著者の米澤創一氏は、京都大学経済学部経営学科を卒業後アクセンチュアに入社。マネージングディレクターとしてプロジェクトマネジメントグループ統括や教育責任者などを務めました。2008年からは、慶應義塾大学大学院のシステムデザイン・マネジメント研究科で特別招聘教授を務めています。

まず相手の言葉を正確に捉える

本質とは問題をひきおこしている根本原因です。「本質」といわれると少し難しいものをイメージしがちですが、実は本質を見定めるためのトレーニングは日常会話で行うことができます。なぜなら「(人との)会話が必ずしも常にきちんと成り立っているわけではない」(米澤氏)からです。複雑な問題になったときには、相手の言葉を正確に捉えて答える努力こそが本質を把握するために重要になってきます。

社長が言う「あの件」と部長が問う「例の件」とあなたが把握している「案件」は全て異なるかもしれません。
言葉は、発している側からすると明確なつもりでも、受け取る側からすると曖昧なことがよくあります。これは発する側と受け取る側が使っている「辞書」が異なるからです。
(トレーニング0 良い思考習慣 悪い思考習慣 28ページ)

「面倒くさい奴」になろう

「我々は長い時間をかけて自分の中に『辞書』を作り上げていきます」と著者は指摘します。個人の中にある「辞書」は、同じ言葉を使っていても経験などによりニュアンスが大きく異なります。だからこそ、相手から正確な答えを引き出すためには「はい、いいえ」で答えるのか、5W2H(Why,What,Who,Where,When,How,How much)で答えるのかなど、答える方法を明確にする必要があります。

本書では、A部長と経験者採用で入社したばかりのBさんとの会話を用いてすれ違いを指摘しています。A部長が「契約書をあげておいて」とBさんに指摘しました。そのときA部長は法務部の承認までを意図していたのに、Bさんは草案をつくるだけだと思い込んでいたのです。

外部からきたばかりのBさんにとって「契約書をあげなさい」というA部長の仕事の振り方はあまりにも曖昧です。一方、Bさん自身も言葉の意味を確認する必要があったと著者は強調します。

 「面倒くさい奴」になることを恐れない。曖昧な質問を明確にすることはお互いに大きなメリットがあると心得ること。
逆に部下から質問され「面倒くさい奴」だと感じたときは、自分の発言に曖昧なところがあったのではないかと振り返る。
(トレーニング0 良い思考習慣 悪い思考習慣 35ページ)

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