1万円台の完全無線イヤホン 新興ブランドも音侮れず「年の差30」最新AV機器探訪

小沼 たしかに、音の広がりはものすごく感じました。

小原 うーん、僕は低域や中域が少しこもって聴こえたかな。クラシックやジャズなど、アコースティックな音を聴く時に違和感がありました。他の曲を聴く場合は違うのかもしれませんが。

小沼 プロダクトとしては、ケースに厚みがあって、ポケットの中でゴロゴロしました。ズボンも膨らんでしまうし、普段ポケットに入れている身としては気になります。ただ、イヤホン本体はつけ心地が良く、デザインも品がありますね。

横尾 そうですね。メタリックで、あまり他にない上品なデザインです。どちらかというと女性からの人気が高い製品ですね。

3機種を並べてみる。ケースの形状は三者三様だった

チップの進化がイヤホンを変えた

小沼 3機種のスペックを表にまとめてみました。こうしてみて改めて思ったのが、どれも再生時間が長いですよね。これまで取り上げてきたイヤホンは、4時間や6時間が主流だったような……?

価格は4月2日時点でのe☆イヤホンの実売価格(価格は変わる可能性がある)

横尾 それは完全ワイヤレスイヤホンに搭載されているチップの進化が理由ですね。最新のチップは省電力性や接続の安定性が大幅に向上しているんです。

小原 チップが接続の安定性を左右するなら、機種によって途切れにくさは変わらないのでは?

横尾 製品ごとにアンテナの設計が違うので、それが差が出る一因かもしれません。もちろん使用する環境によっても左右されます。

小沼 東京などの都市圏と地方でも状況が違いそうですね。

「ガジェット感覚」で楽しむ

横尾 3機種を聴いてみて、小原さんと小沼さんのベストはどれでしたか?

小原 僕はGLIDiC。音が一番好みでしたし、サイズが小さいのも魅力的でした。

小沼 僕はAVIOTですね。ケースのサイズは大きいものの、薄型でデザインが今っぽい。しっかりした中低音も良いと感じました。でも、もう一つのNUARL含め、どれも思った以上にハイレベルでしたね。

小原 いい機会だから横尾さんに聞きたいんですが、オーディオ機器にこだわるような、いわゆるオーディオファンでも完全ワイヤレスイヤホンを買う人って増えているんですか。

横尾 はい。音にこだわりのある人で、完全ワイヤレスイヤホンに興味を持つお客さんも増えています。ピュアオーディオ好きだけど、完全ワイヤレスの売り場に来る人も、最近はよくいますね。純粋に音を追求するというより、ガジェット感覚で楽しんでいるみたいです。

小原 なるほど、ガジェットですか。それは新しい楽しみ方ですね。

小沼 ある意味、どれを選んでも大きく失敗はしないレベルまで品質が上がってきたからこそ生まれた楽しみ方かもしれません。これからも完全ワイヤレスイヤホンは盛り上がりそうですか?

横尾 今回紹介したようなブランドはサイクルも早く、数カ月単位で新製品が出ます。チップもまた入れ替わりますし、夏に向けて新たな製品が発表されると思いますよ。消えていくものもありますが、今はそれ以上に新しいブランドが続々と誕生しています。目が離せない分野ですね。

◇ ◇ ◇

完全ワイヤレスイヤホンの市場規模は年々拡大している。調査会社GfKジャパンの調査でも、完全ワイヤレスイヤホンの販売本数は前年の3倍以上と大幅に伸長している。その背景には、今回紹介したような新興ブランドの台頭があった。

こうしたブランドのイヤホンは玉石混交だが、比較的安価で、種類も豊富。横尾さんも「店頭でつけ心地を試したり、自分の使っているスマホや音楽プレーヤーを持っていって好きな曲を聴いてみたりすることが大切」とアドバイスする。じっくり探してみることで、自分に合ったイヤホンが見つかるかもしれない。

小原由夫
1964年生まれのオーディオ・ビジュアル評論家。自宅の30畳の視聴室に200インチのスクリーンを設置する一方で、6000枚以上のレコードを所持、アナログオーディオ再生にもこだわる。今回の試聴で使ったアルバムは「交響曲第3番『オルガン』」(サン・サーンス)など。

小沼理
1992年生まれのライター・編集者。最近はSpotifyのプレイリストで新しい音楽を探し、Apple Musicで気に入ったアーティストを聴く二刀流。今回の試聴で使ったアルバムは『Outer Peace』(トロ・イ・モア)など。

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