男性の前立腺肥大 50代は何%が該当する?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)10%
(2)30%
(3)50%
正解は、(2)30% です。
男性は年を取ると前立腺が肥大し、尿トラブルの元になる
年齢を重ねると、頻尿や尿失禁などの尿のトラブルに悩まされる人が増えてきます。泌尿器科を専門とする永弘クリニック(埼玉県新座市)院長の楠山弘之氏は、「乗り物に長く乗ることが不安だったり、夜中に頻繁にトイレに起きることで同室者に気兼ねする、といった理由で旅行に行けないという人も多い。恥ずかしいという気持ちが強く、医療機関を受診できずに1人で悩みを抱え込んでいる人も少なくありません」と話します。
男性の場合は、尿トラブルが出てくるのは60代以上が中心だと楠山氏は話します。漏らしてしまうことは少ないものの、頻尿になったり、出にくくなったりします。その大きな原因は、加齢と共に起こってくる前立腺の肥大です。
前立腺はクルミほどの大きさで、膀胱のすぐ下に尿道を取り囲む形でついている男性特有の器官。そこから分泌される前立腺液は、精液を作るためにも必要ですが、殺菌作用が強く、大切な睾丸を雑菌から守る役割もあります。
60代の60%、80代なら90%の人に前立腺の肥大が見られる
この前立腺は、年を取ると大きくなってきます。すべての男性でもれなく大きくなるわけではないのですが、50代の30%、60代の60%、80代になると実に90%の人に前立腺の肥大が見られるといいます。その結果、大きくなった前立腺が、内側に位置する尿道を圧迫。尿が出るのに時間がかかる、尿の勢いが弱くなる、膀胱が刺激されて頻尿になる、膀胱に尿が残る(残尿)といった症状に悩まされるようになるのです。
●頻尿になる(昼夜問わず頻繁にトイレに行きたい、起床から就寝までに8回以上排尿している)
●突然の尿意に襲われる(実際に漏らすことは少ない)
●残尿感がある、排尿後に「ちょい漏れ」がある
●尿の出が悪くなる(勢いが弱い、時間がかかる、途切れる)
そもそも、なぜ年を取ると前立腺が大きくなるのでしょうか? 実は、その詳しいメカニズムは今なお解明されていません。ですが、男性ホルモンが関係していることは分かっています。
主要な男性ホルモンであるテストステロンは、5αリダクターゼという酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンに変わり、これによって男性型脱毛症が起こります。「前立腺も同じく、DHTの作用で肥大すると考えられています」と楠山氏は話します。直接の原因はDHTなので、単純にテストステロンの分泌量が問題になるわけではありませんが、テストステロンがなければDHTもできません。そのため、テストステロンを分泌する睾丸を失った男性は髪も抜けないし、前立腺の肥大も起こさないそうです。
[日経Gooday2019年4月1日付記事を再構成]
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