スポーツ大会は時計メーカーにとってブランド発信の格好の舞台だ。協賛すればタイム表示の横にロゴが掲示され、大きな宣伝効果が見込める。最近目立つのは高級時計メーカーがコラボするスポーツの多様化だ。ラグジュアリーなブランドにそぐう対象を模索し、一方でスポーツの側もイメージアップ効果に期待を寄せる。日本でも高級時計とスポーツの相思相愛関係が一段と深まりそうだ。
■カーレースへ協賛、富裕層に照準
オースチン・ヒーレー100、ジャガーXK120、ポルシェ356、ダットサン240Z……。車好きにはたまらない1950~70年代初頭のクラシックカー35台が南国・沖縄の那覇市に集合した。3月9~10日に開かれた「クラシックカーラリー沖縄」は今年が4回目。県内の公道でタイムレースなどを競った。
走行距離は約350キロ。雨模様ながら沿道では親子連れやカップルが手を振り、自慢げに走る各車を写真に収める。駐車場など途上の集合ポイントにはカーマニアが殺到し、一息入れているオーナーらを質問攻めにした。
クラシックカーレースは富裕層が楽しむスポーツの代表格。有名なのはイタリアで5月に開かれる「ミッレミリア」だ。その公式スポンサーを30年務めている時計・宝飾品ブランドのショパールが、この沖縄のイベントも初回から支えている。当然ながら同ブランドは日本のクラシックカー愛好家の間でも知名度抜群だ。共同社長のカール=フリードリッヒ・ショイフレさんも大の車好きで知られる。
ショパールジャパン社長のトーマス・ドベリさんによれば、レースへの特別協賛は「『優雅なライフスタイル』というブランドコンセプトを具体的な形で示せる」点に意味がある。沖縄ラリーはまだ知る人ぞ知る競技だが、富裕層が主役なだけに今後の伸びしろに期待を寄せる。参加者にとってショパールが協賛することは「ミッレミリアとのつながりが実感できてうれしい」もの。副賞に用意された腕時計の限定商品も注目を集めた。
昨年から今年にかけて、リシャール・ミルとマクラーレン、ブライトリングとベントレーといった、高級時計と名車との新作コラボ製品が相次ぎ発表された。「モータースポーツは時計の精密機能を進化させ、伝説のレーサーの逸話もファンの興味をそそる」と都内百貨店。コラボモデルはすぐに完売するという。