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男性の育休義務化したら、職場が大進化 積水ハウス

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NIKKEI STYLE

女性の活躍推進に向け男性の育児参加が求められるなか、積水ハウスは2018年9月に男性社員に1カ月以上の育児休業取得を義務付けた。取得した男性社員の職場では周囲に働きやすさが波及し、業務でプラス効果も。実施後、半年間を追った。

仕事をフォローし合う風土に

「先輩の図面ってこんな風になっているんだ」。積水ハウス東京中央支店で設計業務に携わる北畑衣莉奈さん(29)は、同じ部署の飛高達也主任(40)が育休取得する際、主任の設計図の下書きを見て息をのんだ。

「ここは二重天井の工法を活用」「部材は木製にした方がいい」など注釈がびっしり。設計図への注釈は本来は不要だが、現場の施工者が工程を把握する上では、とても役立つ。先輩の工夫を学んだ。

同社が導入した1カ月以上の育休完全取得は、3歳未満の子を持つ男性社員が対象で約1400人に及ぶ。きっかけは、仲井嘉浩社長の昨年の欧州出張。スウェーデンの郊外のスマートシティを見学した際、仲井社長は公園でベビーカーを押す9割以上が男性だったことに感心した。背景に同国には父親専用の90日間の育休制度があると知り、帰国後制度化した。

人口減で多様な人材の能力発揮が求められる時代。女性の活躍を推進するには男性の育児参加を促すことも欠かせない。18年の社内イベントで、仲井社長は同制度によって「『互いにカバーしよう』という雰囲気になれば」と説き、社内コミュニケーションが活発になる期待を語った。

冒頭の飛高主任は18年11月から、当時0歳だった娘のために、1週間ずつ計4回の休業取得を決めた。同時並行で進めている10前後のプロジェクトは、ほぼすべて北畑さんが引き継いだ。初めは「どうなるのか」と、不安も多かったという北畑さん。だが、不安は「学び」で吹き飛んだ。

飛高主任の休業取得前は、先輩の下書きの図面を見る機会はなかった。それが「先輩が図面に込める工夫を初めて知った」(北畑さん)ことで、仕事に関わる人をつなぐ設計図の重要性を痛感。北畑さんはそれ以降、営業部門からの難易度の高い設計への問い合わせにも応え、自身のキャリアアップにつなげている。引き継ぎが円滑に進まなかった職場もあったが、飛高主任と北畑さんは事前に入念な打ち合わせをして乗り切った。

顧客との接し方、根本から見直す

同じ職場の高林正明さん(41)は雰囲気の変化を実感。高林さんはそれまで子供の急な病気や学芸会など大切な行事のときでも、自身の休暇取得に罪悪感があったという。だが、飛高主任の育休取得を通じ、「周りの人も大切な日に休暇が取りやすくなった。仕事へのモチベーションも上がる」(高林さん)という。

育休取得での生活体験から自身の営業スタイルが「激変」し、業務にプラスになった人も。「『我が社の住宅は本当に本当に質がいいですから』など、以前は猛烈にPRするだけの営業をしていました」。こう苦笑するのは姫路支店で住宅の営業を担当する和田慎吾店次長(35)だ。

和田さんは1歳の娘のため18年12月から1カ月の育休を取得。入社後の約13年で「これほど長期の休みは初めて」。最初の1週間は不安が大きく、会社支給の携帯電話を放せなかった。妻からは「なんで休みなのに携帯を持っているのか」ととがめられた。

やがて職場を離れる不安も減り、子供と向き合う時間が増えていった。「パパー。庭に鳥さんが来たよ。あの木にはこんな木の実がなるんだよ」。自宅での何気ないやりとりから、「家ってこんなにいいものなんだ」との思いを強くした。取得前は仕事に没頭するあまり、「ゆったりとした気持ちが持てる場所」という家が持つ価値を忘れかけていたと振り返る。

1月の職場復帰後。顧客との接し方、住宅の紹介の仕方を根本から見直した。顧客が求める「家」とは、どんなものなのか。子育て中と、親の介護をする世帯では重視する点も異なる。先方の生活様式に寄り添い、住みたい「家」を一緒にじっくり考える。育休で「家」の価値を再認識した自分だからこそできるスタイルと手応えを感じている。

男性の育休取得率、5%にとどまる

「積水ハウスの取り組みは、日本の男性による育休取得増加の起爆剤になるかもしれない」。こう話すのは、男性の育児参加を支援するNPO法人、ファザーリング・ジャパン(東京・千代田)代表理事の安藤哲也氏だ。

厚生労働省の17年度の調査では、育休の取得率が女性83.2%に対し、男性は5.14%にとどまる。政府は男性の取得率で20年に13%の目標を掲げるが、思うように上がらない現状がある。人手不足など、ビジネス上のマイナス面を危惧する企業が、乗り気にならないためだ。

安藤氏は「積水ハウスの事例の参考点は、業務面で取得した本人だけでなく職場の女性や同僚にもポジティブな結果が出ている点だ」と指摘する。積水ハウスで好事例がたくさん出てくれば「他の企業が追随する可能性は十分にある」(安藤氏)と語る。

取得広がる契機に~取材を終えて~

「うちの会社じゃ復帰してもポジションはないね。まあ、退職宣言と捉えますね」――。今回の積水ハウスの取材後、別のテーマで会った異業種の部長級の何人かに「男性の部下が1カ月以上の育休をとると言ってきたらどう思いますか」と質問してみた。冒頭のようなコメントが大半だった。多くは日本を代表する企業だったが、男性の育児休業には否定的な意見が多い印象だ。

一方、3歳未満の子供を持つ20~40歳代の男性正社員のうち、育児休業を利用したかったが利用できなかった人の割合は3割にものぼるという調査結果もある。育休を取得したいのに、職場の理解や体制がないため諦めるという男性も少なくないようだ。育児と家庭の両立を率先して進める積水ハウスで職務への好事例が広がれば、男性の育休取得が増える可能性が高い。

(飯島圭太郎)

[日本経済新聞朝刊2019年4月1日付]

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