週末レシピ ワタまでおいしく、旬のソラマメ徹底活用
暖かい気温になり、厚い上着も必要のない季節が到来しました。木々は芽吹き、花々は咲き始め、緑色のみずみずしい植物たちが急成長します。この時期の代表的な野菜、ソラマメを店頭で見かけると、恵みの季節であることを強く感じます。
新鮮なソラマメの選び方は、サヤがきれいな緑色で、全体的に均等にふっくらと膨らんでいて、薄いふわふわのうぶ毛がついていること。ソラマメの黒い部分は「お歯黒」と呼ばれ、熟度の目安になります。旬の初めは色が薄く、緑色にうっすらと黒がかった色ですが、時期が終わりになってくると色が濃く、黒くなってきます。
ソラマメをゆでる場合は、このお歯黒をゆでる前に取ることが、ソラマメをおいしくするポイントとなります。お歯黒を取ることで、皮と豆の間にすき間ができ、豆の中心に火が通りやすくなるからです。
まずはソラマメの基本的なゆで方をご紹介します。
(1)サヤからソラマメを取り出す(後でサヤの中のワタの食べ方も紹介しますのでサヤは捨てないでください)
(2)お歯黒をツメにひっかけて取る
(3)沸騰した湯に塩を適量入れて、約3分ゆでてザルにあけて冷ます
ゆでたてのソラマメの薄皮をむき、アツアツのマメに塩をかけて食べる。これがソラマメの一番シンプルな食べ方ですが、一番素材を生かした味わい方とも言えます。ほっこりとした食感や素朴な豆の風味はお酒ともとても合うので、お酒もついつい進んでしまいます。
シンプルにゆでただけでもおいしいソラマメですが、次はこのゆでたソラマメを使ったアレンジレシピを紹介します。
「ソラマメのニンニクしょうゆ漬け」
ゆでたソラマメ 150グラム / ニンニク 1片 / しょうゆ 大さじ3 / みりん 大さじ1
(1)ニンニクを薄切りにする
(2)すべての材料をジップ付きのビニール袋に入れる
(3)1時間以上置く
一晩以上置いた方がソラマメに味がしみこみよりおいしくなります。お好みで紹興酒を少量加えるとより大人の味になります。この季節はお花見の酒のつまみとして持って行けば、お酒好きの方たちに大人気となること間違いなしです。
次は少しだけ手間を加えた「ソラマメとエビの塩いため」をご紹介致します。
ソラマメ(生) 100グラム / 無頭エビ 12尾 / サラダ油 少々 / 顆粒(かりゅう)鶏がらスープ 小さじ1/2 / 塩 少々 / コショウ 少々
(1)ソラマメのお歯黒を取る(皮はついたまま)
(2)エビの尾を残して殻をむき、背ワタを取る
(3)フライパンにサラダ油少々を温め、ソラマメ、エビの順に加えていためる
(4)鶏ガラスープ、塩、こしょうで味を調える
材料も作り方もシンプルですが、ソラマメの緑色とエビの赤色の色合いが美しく、食卓に映え、食欲をそそります。ソラマメはゆでずに生のままで油でいためるので、皮が香ばしく、ギュッとしまった食感を楽しめます。
お酒のつまみにもちろんですが、ご飯のおかずとしてもお薦めの一品です。こちらもお花見弁当のおかずの一つに加えても、見栄えが良いので大活躍するでしょう。
では次は本当に簡単な「焼きソラマメ」をご紹介。
「焼きソラマメ」
(1)ソラマメをサヤごと水洗いし、少し水分がついている状態で魚焼きグリル、またはオーブントースターに入れる
(2)8~10分程度、サヤに焦げ目が付くまで加熱する
調理はこれだけ!です。
サヤを丸ごと焼くことで中に包まれているマメが蒸されながら熱が入っていくため、甘みが増してホクホクな仕上がりになります。マメのうま味も増します。
焼いたサヤは捨てずに、内側の白いワタも食べられるのでぜひ味わってみましょう。スプーンでこそげ落としながらそのまま食べてみると、ぬるっとした面白い食感を楽しむことができます。
焼かないで、ソラマメを取り出した後の生のサヤを使う場合は、次のように調理してみてください。
(2)浮いているサヤを箸で押さえながら、2~3分ゆでる。
(3)ザルにあけて水気を切り、サヤの中のワタをスプーンでかき出す
今回はワタを活用して簡単な小鉢を作ってみました。器にワタを入れて、しょうゆ、刻みのりをかけてワサビを添えます。
オクラとヤマイモのすりおろしを合わせたような青っぽい香りと、ぬるぬるした面白い舌ざわり。新感覚のおつまみです。今回この小鉢を一つ作るのに、ソラマメ10サヤ分のワタを使いました。ソラマメを食べるときにはサヤを捨てず、中のワタまでフル活用してみましょう!
最後は洋風メニューとして「ソラマメのクリームチーズ和え」をご紹介します。
「ソラマメのクリームチーズ和え」
ゆでたソラマメ 適量 / クリームチーズ 適量 / オリーブオイル 適量 / 黒コショウ 適量
(1)ゆでたソラマメの表面の薄皮をむく
(2)(1)にクリームチーズを小さくちぎりながら加えて混ぜる
(3)器に盛り付け、オリーブオイル、黒コショウをかける
薄皮をむいたソラマメはくずれやくなるので、クリームチーズとよくなじみます。クリームチーズの代わりに、カッテージチーズや軽く水気を切った豆腐でもさっぱりとおいしく作ることができます。パンにはさんでサンドイッチの具材にしたり、クラッカーや薄く切ったバケットにのせたりすると、白ワインにぴったりのおつまみにもなります。
ソラマメは漢字で、蚕豆、空豆、もしくは天豆とも書かれます。緑色のサヤの内側に繭(まゆ)のようなふわふわのワタにマメが包まれているから蚕豆、上へ上へと空の方へ成長していくので空豆、天豆と書かれるのだとか。新年度にふさわしい上昇イメージの食物かもしれません。
また、中国の調味料、トウバンジャンの原材料がソラマメであることはご存じでしょうか? ゆでたソラマメをつぶして、こうじ、トウガラシ、塩と合わせて味噌と同じように発酵させたものです。ソラマメのうま味は調味料にも活用されているのです。
今が旬のソラマメ、ぜひこの機会にお楽しみください。
(GreenCreate 料理研究家 橋本加名子)
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