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キャリアの原点

世界で一番とらなきゃ 由紀精密社長、下請けの誇り 由紀精密 大坪正人社長(下)

2019/4/9

由紀精密の大坪正人社長

倒産の危機にあった家業を立て直し、金属の切削加工技術を武器に世界的企業やプロジェクトを顧客に獲得してきた由紀精密(神奈川県茅ケ崎市)の大坪正人社長(43)。「地道にひとつ一つ積み上げてここまできた」という謙虚さの一方、「世界で一番をとらなきゃ、やってる意味がない」という熱いチャレンジ精神を秘める。原点になったのは、新卒で入社した企業での6年間だった。

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■幼稚園の頃には自動車の排気量を暗記

大坪さんは祖父、父に次いで3代目の社長だ。子供のころは自宅の敷地内に工場があり、切削加工の音と機械油の匂いの中で育った。時には工場で作業する母に背負われながら成長した。

しかし、中小の製造業を営む親の多くと同じく、大坪さんの両親も工場を継いでほしいとは言わなかった。「下請けの中小製造業は本当に厳しいから、大手の最終製品メーカーに行ったほうがいい」といつも言われていたという。

工場が身近にある環境が大きく影響したのだろう。大坪少年は物心ついたころから機械が大好きだった。特に自動車に夢中になった。「幼稚園の時には車種ごとにエンジンの型式から排気量の最後の一桁まで完全に覚えていた。父親がディーラーでもらってくる車のカタログを熟読してましたから」と笑う。東大工学部に進学、迷わず機械科を選んだ。

大学院まで進んだ大坪さんが就職先に選んだのは、大手メーカーではなくインクス(現SOLIZE)という新興企業だった。3次元(3D)CAD(コンピューターによる設計)がまさに始まった時期に、図面のデジタルデータを基に3Dプリンターを使ってものづくりをするという会社だった。

もともと、大学の卒業論文で3Dプリンター作りをテーマに選んでいたため、興味を引かれた。「将来的に必要になる技術だと思ったことが決定打だった」という。家業を継ぐつもりはなかったものの、将来的に由紀精密でも必要となる技術だと思ったことも背中を押した。大手メーカーとは違い、インクスで働く若手の先輩社員たちが、スケールの大きな仕事を任されていたのにも圧倒されたという。

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