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大発見! カンブリア紀の新たな化石群で新種続々

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ナショナルジオグラフィック日本版

2019年3月22日付けの学術誌「サイエンス」に発表された論文によると、中国の川のほとりで5億1800万年前の古代生物の化石が大量に発見された。保存状態は驚異的に良好だという。

「清江」というこの化石産地からは、保存状態が非常に良く、ふつうは化石にならない軟体動物の化石まで見つかっている。こうした世界有数の化石を産出する地層は、地質学の世界で「ラーゲルシュテッテン」と呼ばれ、カナダの有名なバージェス頁岩(けつがん)や中国の澄江などが知られている。

「ほとんどの化石産地では殻のあるものや硬いものだけが化石になりますが、これらのラーゲルシュテッテンでは解剖学的な構造までが保存されます。これ以上ない最高の化石です」と、カンブリア紀の生物の専門家である米ハーバード大学の古生物学者ジョアンナ・ウルフ氏は説明する。なお、ウルフ氏は今回の研究には関与していない。

清江では現在までに、101種の動物化石が確認されており、その半数以上が新種だという。中国、西北大学の古生物学者で論文の筆頭著者である傅東静(フ・ドンジン)氏は「明るい未来が見えます」と言う。「清江は次のバージェス頁岩になるでしょう」

今回の発見は、さまざまな動物が爆発的に現れたカンブリア紀初期に関する知識を大幅に増やしてくれる。この時代には、わずか数千万年の間に世界中で複雑な海洋生態系が誕生し、今日の主要な動物群の基礎となる生物が出現した。動物の生息地となる浅い海ができたことや、DNA調節機構の進化により体節をもつ生物が登場したことなど、多くの要因が重なって先例のない「種の放散」が起きたと考えられている。

「半数以上の化石が新種という化石産地が見つかったと聞いて驚いています。これまでの時点ですでに、カンブリア紀の生物多様性はかなりよく把握できていると思っていましたから。ワクワクしています!」と、スイス、ローザンヌ大学の古生物学者でカンブリア紀の生物を専門とするアリソン・デイリー氏は言う。

カンブリア紀へのガリバー旅行記

傅氏と、その博士研究の指導教官で論文共著者の張興亮(チャン・シンリャン)氏が清江の化石産地を発見したのは、化石を求めて中国南部の岩石を調べていた2007年の夏のことだった。暑さから逃れようと川沿いを歩いていた両氏は、偶然、川岸に有望そうな頁岩があるのを見つけた。発掘を始めるとすぐに目をみはるような化石が見つかった。カンブリア紀のほかの化石産地でも見つかっているエビのような生物「レアンコイリア」の化石だった。

4回の発掘シーズンを終えた両氏は、時間の流れを遡って、この生態系の中を泳ぎ回ったらどのような感じか、かなり詳細に明らかにしている。それは、『ガリバー旅行記』の海底版のようなものになるだろう。あなたは海底で最大の動物になる。清江の動物の体長は、大きくてもせいぜい15cmだったと考えられているからだ。

清江の動物たちと一緒にカンブリア紀の海に浮かべば、興味深いドラマが繰り広げられているのが見えるだろう。海底では、原始的なイソギンチャクの横を三葉虫が這い回っている。枝分かれした藻類と、色も大きさもさまざまな約20種のカイメン(海綿)が、風景に賑わいを添えている。葉足動物と呼ばれる脚のあるいも虫のような生物も、短く太い脚をうごめかせて海底を横切っていく。

ときおり、海底の土の中に隠れていた生物が一瞬だけ頭を出しては、また安全な隠れ家に引っ込んでゆく。アノマロカリスが突進してきた! エビのような形の付属肢を頭部に1対もつ、この生態系の頂点捕食者だ。クラゲたちは眠気を誘うように海を漂い、有櫛(ゆうしつ)動物の体表に並ぶ櫛板(繊毛が櫛の歯のように並んだもの)が虹のように輝いている。

ソフトな体のハードな問題

有櫛動物は現代の海にもいるが、科学者たちは長年、この奇妙な動物が生命の系統樹のどこに位置付けられるのか、頭を悩ませてきた。清江の繊細な化石は、この進化の謎解きに役立つはずだ。

有櫛動物は一見クラゲに似ている。しかし、両者に直接的な親戚関係はなく、ごくわずかな関連しかないかもしれない。

初期の研究では、動物の系統樹の中で最も古い枝にいる動物は筋肉も神経系もないカイメンで、その後、神経系をもつ有櫛動物が枝分かれし、さらにクラゲが現れ、やがてはヒトが現れたとされていた。しかし10年ほど前から、DNA分析の結果にもとづき、有櫛動物はカイメンよりもっと遠い親戚とする見方が出てきた。そうだとしたら、有櫛動物の神経系はクラゲやヒトとは関係なく進化していたことになるのだろうか? 論争を解決するためには、有櫛動物の化石が必要だ。そして、有櫛動物のゼラチン質の体を化石として残せるような地層とは、ラーゲルシュテッテン堆積層だ。

3月21日付けの学術誌「カレントバイオロジー」に発表された研究では、別の古生物学者たちが、澄江やバージェス頁岩などの既知のカンブリア紀の化石産地には、有櫛動物の最古の祖先の化石が含まれると主張している。彼らの主張が正しければ、有櫛動物の祖先は、誰も予想しなかったような形をしていたという。海底に固着し、花のような形をした、濾過摂食者(水流を濾過して、水中に浮遊する有機物を食べる生物)だったというのだ。

「これらの化石を眺め、どのように組み合わせられるかが見えたとき、おのずと詳細が明らかになりました」と、論文の著者で英ブリストル大学の古生物学者、ジェイコブ・ビンザー氏は言う。「科学者が夢見るひらめきの瞬間でした」

新しい化石産地はパンドラの箱

研究者たちによると、澄江で発見された濾過摂食者の「ダイフア」などの新しい化石には、整列した繊毛を含め、有櫛動物の特徴が見られるという。この新しい化石を「ディノミスクス」(バージェス頁岩から発見されたチューリップのような謎の生物)と比較した彼らは、驚くべき結論に達した。ディノミスクスと新しい化石は、互いに関連があるだけでなく、有櫛動物の共通祖先と近縁の親戚であるというのだ。もしそうなら、有櫛動物はこれまで考えられていた以上に、系統樹上でクラゲの枝の近くにいることになる。

今日の有櫛動物の専門家は、現段階ではビンザー氏の主張について慎重な見方をしている。

「この論文を読むと、カモノハシの水かきのある足とくちばしだけを根拠に『これはアヒルだ』と言っているように見えます。カモノハシは飛びもせず、ガーガー鳴きもしないのに」と、米モントレー湾水族館研究所の生物学者スティーブン・ハドック氏は言う。「今日の有櫛動物をよく知る人間にとっては、彼らが主張する化石との一致は、これと同じくらい荒唐無稽です」

ビンザー氏は論争を歓迎し、今回発見された清江の化石産地は全体像の解明に役立つだろうと期待している。「新しい化石産地はパンドラの箱です。欠けている要素はまだまだたくさんあり、多くの奇妙な驚きが待っているのです」

ビンザー氏や他の古生物学者にとって幸いなことに、清江の発掘は始まったばかりだ。「今はまだ数千点の化石しかありませんが、澄江とバージェス頁岩には数十万点の化石があります」と傅氏は言う。

カナダのバージェス頁岩は1900年代から研究されてきた。清江がバージェス頁岩と同じくらい長く研究できるようにするために、研究者たちはこの場所を保護する措置を講じている。傅氏は、中国の保護地域でありユネスコの世界遺産でもある澄江と同じ方法で清江を保護するために、現地の地方自治体と話し合いを進めていると言う。

(文 Michael Greshko、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年3月25日付]

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