職場でくだらない話がしたいのに著述家、湯山玲子さん

著述家、プロデューサー。東京都生まれ。「女装する女」など著作多数。クラシック音楽のイベント「爆クラ!」を主宰。テレビのコメンテーターとしても活躍。
著述家、プロデューサー。東京都生まれ。「女装する女」など著作多数。クラシック音楽のイベント「爆クラ!」を主宰。テレビのコメンテーターとしても活躍。

職場はみんな悪い人ではないのです。でも、一緒にくだらない話ができる、友人になれそうな人がいません。仕事中にちょっとした面白い話があっても、家まで持って帰らなければならないのがつまらない。どうすれば、楽しい職場にできますか?(福島県・女性・30代)

フリーランス、事業主として長く働いていると、組織で働く人との、「仕事感」についての違いを感じることがあります。そのひとつが、まさに相談者氏が悩んでいる「職場の居心地」問題です。

「仕事とはすなわち納品である」とは、私がよく社会人ルーキーたちに問われて教える金言です。「過程は何をやってもいい。しかし、望まれる結果を出す」ということがプロの本質なので、本来ならば「職場の雰囲気なんぞはどうでもいい」ということ。プロジェクトでは適材適所の人材を選ぶのですが、そこに「一緒にくだらない話ができる」メンバーという基準が入ることはありません。

そう、仕事の本質は利益を上げることであり、職場は「居場所」ではないのです。しかし、日本の伝統的な会社や集団の場合、そう思われていることが多い。有給をあまり消化せず、生産性のない残業を続ける人が少なくない理由のひとつに、職場が居場所になっているから、という指摘もあります。

会社のトップをして、相談者氏の望む職場環境が儲(もう)けにつながると判断したならば、「楽しい」職場が、社風として実現する可能性はあります。しかし、現実には、くだらない話をし合って笑い合う時間があるならば、企画書の1本も書き、営業のアポを入れ、今どきは残業せずに帰れ、というのが多くの会社の常識。もちろん、「くだらない話」の中に、儲けにつながるアイデアが発見されることもあるでしょうが、それを実現できるようなプロはそういう職場からは生まれないでしょう。

一緒にくだらない話ができる人、というのは、気が合う人、ということでしょう。しかし、これは経験上、かなり少ないと見た方がいい。さっさとその部分は職場に見切りを付け、外に広がる人材の大海に「くだらない話ができる」ナイスセンスの人を見つけて人生を面白くするという船出をした方が面白い。

このSNS時代、ネットには個人の言葉があふれているわけですから、これは! という文脈の人にアプローチしてみる。好きなお笑い芸人のライブに行って「笑いのツボ」が同じ人に思い切って声をかけてみるというのも良いかも。実際私もそういう友人がいたりします。

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[NIKKEIプラス1 2019年3月30日付]

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