「楕円桜」 ジャパン応援歌、東北の被災地に響くシンガーソングライター・渡瀬あつ子さん

「過ぎし日の流す涙に ここにいるその訳を知る」という歌詞が気に入っているという(19年3月、横浜市のラグビーダイナーセブンオウス)
「過ぎし日の流す涙に ここにいるその訳を知る」という歌詞が気に入っているという(19年3月、横浜市のラグビーダイナーセブンオウス)
アジア初のラグビーワールドカップ(W杯)が9月20日~11月2日に日本で開かれる。著名人に自分自身が思うラグビーの魅力を聞くインタビュー企画「W杯だ!ラグビーを語ろう」第4回は、福島県南相馬市出身のシンガーソングライター、渡瀬あつ子さん(43)が登場する。

胸に桜のエンブレムをつけるラグビー日本代表(ジャパン)のチームソングとして生まれ、高校ジャパンに引き継がれている歌がある。渡瀬さんの作詞作曲による「楕円桜(だえんざくら)」。2008年にCDが発売され、動画サイトなどを通じても知られるようになった。東日本大震災が起きた2011年以降はラグビーファンだけでなく、渡瀬さんの故郷である福島県南相馬市など被災地の人々の胸にも響く曲となっている。

――「楕円桜」誕生の経緯を教えてください。

「大学卒業後、派遣社員として4年ほどNEC関連会社に勤めた縁で、ジャパンのスタッフだったNECラグビー部のOBからオファーされました。2007年のW杯の前で、ニュージーランド(NZ)出身のジョン・カーワン日本代表ヘッドコーチが『自分たちの曲がほしい』と。06年にラグビーを見始めたばかりの私にはむちゃぶりで、最初は断ったのですが『W杯までに』とせかされて。選手たちが移動のバスなどで歌うチームソングとしてつくりました」

福島県いわき市で開かれたラグビートップリーグの試合会場で楕円桜を披露する渡瀬さん(2016年)

――どうしてラグビーのファンに。

「やはりNECラグビー部OBの方々が観戦に誘ってくれたのがきっかけです。これも最初はいやいやだったんですが、NECが日本選手権で東芝府中(当時)と両チーム一緒に優勝するタイミングとも重なり、ルールもわからないのに応援に夢中になりました。『アフター・マッチ・ファンクション』(試合後に両チームが互いをたたえ合うラグビー伝統の交歓会)と称して、観戦後に必ずみんなでお酒を飲むのもすごく楽しかった」

――ラグビーのどこに魅力を感じましたか。

「前進してトライするのにボールは後ろにしかパスできないルールとか、どこに転がるかわらかなくて私には扱いづらい楕円球は、とても不思議でした。それを魅力と感じて熱く語る人間たちが、すごく面白かった。それも利害関係、損得勘定抜きで接してくれて。当時、音楽事務所と利害関係でトラブっていた私には『こんな場所があるのか』とオアシスのように感じました。みんなに教えてもらったたくさんの魅力が、『楕円桜』の歌詞につながりました」

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