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著者に聞く 仕事の風景

1行で自己PR 出世に役立つキャッチコピーの作り方 『今すぐ自分を売り出す1行を作れ』さわらぎ寛子氏

2019/4/3

『今すぐ自分を売り出す1行を作れ』の著者、さわらぎ寛子氏

「あなたはどんな人ですか?」と尋ねられると、多くの人は返答に窮してしまいそうだ。でも、気の利いた「自分キャッチコピー」や「二つ名」を語れたら、魅力的な人物イメージを持ってもらえるだろう。『今すぐ自分を売り出す1行を作れ』(大和書房)を書いたさわらぎ寛子氏は「印象的な自分コピーは仕事のエンジンになってくれる」という。出世や転職にも役立つという「分身的な1行」の効果と生み出し方を聞いた。

■黙っていては評価されない時代

かつての日本企業では「出しゃばり」が嫌われた。くどい自己主張やあざとい能力アピールは今でもうっとうしく思われがちだろう。しかし、昭和のころと異なり、社歴を重ねるだけで自然と役職に就けるとか、報酬が増えるということは少なくなった。実績評価と見返りが連動する割合が高まり、「謙譲の美徳」は万能ではなくなったようだ。「黙っていて評価してもらえる時代は終わった。嫌みのない自分プッシュは、まっとうな評価を得るうえで欠かせない」と、さわらぎ氏は職場での言葉スキルの重要性を説く。

ただ、やみくもに自己アピールを繰り返しても狙った効果は得にくい。さわらぎ氏は「相手にどんな価値を提供できるのかを、自分の言葉で伝える能力が求められている」という。初対面の相手への自己紹介では「勤め先、所属部署」を柱に据えがちだが、「名刺を見ればわかることを、わざわざ言う必要性は低い。むしろ、自分の価値を際立たせるようなオリジナルな切り口を用意したい」(さわらぎ氏)。

テレビ東京系の経済ニュース番組「ワールドビジネスサテライト(WBS)」では、コメンテーターのプロフィル紹介に趣味を書き添えている。「B級グルメ」と書いてあるだけで、各界のオーソリティーたちにも親しみがわく。会社の肩書だけでは伝わりにくいヒューマンな側面や別のタレント(資質・才能)がわかれば、距離感が縮むのに加え別の角度からのビジネストークを組み立てやすくもなる。

「自分を売り出す1行」は、単なる持ち味や強みの宣伝で終わらない。さわらぎ氏が重視しているのは「相手が求めるものに変換する」という一手間だ。いくら自分が特別な才能やスキルを持ち合わせていても、それが相手にとって何のメリットも生じないようであれば、共感やビジネスにつながりにくい。残念な「得意技の押し売り」だ。つまり、相手が求めているものとのマッチングが欠かせない。

「1行」のおかげで特別な存在になれれば、自分の経験やスキルを武器に仕事を呼び込みやすくなる。勤め先の「一員」ではなく、本人の名前で仕事ができて、自分ブランドを築くのにもつながる。取引先からご指名で仕事が来れば、社内での評価が上がる。取引先との親密な間柄も深めやすい。「大企業に勤めているからといって、自分を目立たせないのはもったいない。誰もがポストをあてがってもらえるとは限らない時代に、自分コピーは出世を助けてくれる」(さわらぎ氏)

「企業に勤めながら自由に立ち回りやすくなるだけではなく、転職や独立にも追い風になる」(さわらぎ氏)。転職エージェント経由で売り込んでもらう際に、キャッチーなアピールがあるのとないのとでは転職先企業の受け取り方にも差が出そうだ。本業以外の取りえがあれば、エージェントから別の提案も受けられるだろう。昔より多くの人たちが転職を選ぶようになった現在、分かりやすい看板の有無は転職の成否をも分けかねない。

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