新入社員は大人のコミュ力磨こう 書店員おすすめ4冊

伝わる言葉つむぐには「内なる言葉」育てよ

青山ブックセンター本店の中田麻美さんのおすすめは『「言葉にできる」は武器になる。』と『人は考えたとおりの人間になる』

もう一人、選本をお願いした青山ブックセンター本店の中田麻美さんは「何か必要なスキルを身につけたいと思えば、そういうタイトルの本はすぐに見つけられる。でもより深い学びが得られる本に出合うのは案外難しい」と話す。そんな視点から選んでくれたのが、16年刊の梅田悟司『「言葉にできる」は武器になる。』(日本経済新聞出版社)。トップコピーライターの著者が「伝える」ということの本質を伝授しようと著した本だ。

「言葉をコミュニケーションの道具としてしか、考えていないのではないですか」。著者はこう問いかける。「伝わる言葉」を生み出すためには、自分の意見を育てるプロセスこそ重要というのが著者の主張の核だ。自分の思考をどれだけ広げ、掘り下げることができたか、どうやって自分の「内なる言葉」を育てていけるかを、自らの体験に即して7つのステップで示していく。

梅田氏がコピーライターとして手がけた作品は、缶コーヒー「ジョージア」の「世界は誰かの仕事でできている。」、求人メディア「タウンワーク」の「バイトするなら、タウンワーク。」など、長期シリーズに育ったものが多い。他者の心に深く根を下ろすような言葉をつむぐ力はどのように獲得できるのか、この本の学びはコミュニケーションなしでは成り立たない仕事をするうえで大きな力になるはずだ。

本書のワークブック版『気持ちを「言葉にできる」魔法のノート』(同)も18年に刊行されている。「ワークブックの方がわかりやすく書かれているので、難しいと感じる人にはこちらがおすすめ」とのことだ。

もう一冊選んでくれたのは、ジェームズ・アレン『人は考えたとおりの人間になる』(柳平彬訳、田畑書店)。原著は1902年の刊行。自己啓発書の古典とされ、『人を動かす』のカーネギーらに影響を与えたといわれる英国の作家の主著だ。邦訳はすでに『「原因」と「結果」の法則』(2003年刊、サンマーク出版)、『新訳 原因と結果の法則』(16年刊、角川文庫)があるが、原題にそったタイトルでこの1月に刊行された新訳となる。

ほぼ文庫判サイズのハードカバーで、ページ数も150ページほどと短い。1ページに短いものは2~3行、長くても十数行で人間の心をめぐる断章がつづられていく。心のありようで結果はいかようにも変えられると説く内容だ。「仕事で落ち込んだりしたときに、こういう本が手元にあるといいのではないか」と中田さんは話す。

17年と18年にも同じように書店員に新入社員向けのおすすめを聞いている(参考記事:「書店員がおすすめ 新入社員が読んでおきたい5冊」=17年、「書店員がおすすめ 新入社員が読んでおきたい4冊」=18年)。仕事術のロングセラーや王道の自己啓発書、数字や言葉、働き方をめぐる本などを紹介しているので、そちらの記事も参考にしてほしい。

(水柿武志)

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