令和時代 消費者に選ばれる不動産仲介業の3条件不動産コンサルタント 田中歩

自分にとって無理のない借入額はいくらなのかを知りたい人も多いのですが、仲介会社は借りることができる目いっぱいの金額を提示しがちという事実もあります。本当はそこで暮らすことが目的であるはずが、残念なことに買うこと、買わせることが目的となってしまっているケースもないわけではないのです。

仲介という仕事に価値を見いだすには

このように、ユーザーがいまだに「情報弱者」となっている部分をサポートすることが今後、仲介会社には求められると筆者は考えています。もちろん、これらの情報もデータベースが整い、機会学習が進んでいけば人の手を借りずとも済むようになると思います。こうなると仲介会社の存在意義とは何になるのでしょうか。

仲介会社と消費者の情報格差はおそらく今後もどんどん小さくなっていくはずです。このままだと仲介という仕事にこれまでのような価値が見いだせなくなってしまうかもしれません。

一方、情報が開示されればされるほど、混乱する消費者が増えるはずです。これらの情報をわかりやすく説明するだけでなく、それを活用して個々の消費者の事情や背景に応じた対処や対応をアドバイスする仕事に変わっていく可能性はあります。

もちろん、消費者の中には自分でその情報について様々な判断ができる人もいるでしょう。そうした人たちは低コストで仲介事務作業を担ってくれる会社に頼めばよい時代が来るはずです。

交渉を合理的かつ優位に進める力が必要に

そしてもうひとつ。利益が相反する相手方と、依頼者の立場できちんと交渉できる力が強く求められるようになると考えています。数多くの情報をそしゃくし、交渉を合理的にかつ優位に進める力です。そうなると、現在許されている「売り主と買い主双方から仲介手数料を受け取る」という行為が難しくなるかもしれません。

平成から令和へ。自らを律する意味で、目指したい仲介業務の姿について考えてみましたが、不動産仲介業界に身を置く一人ひとりが努力を続けなければならないことは間違いないと思います。

田中歩
1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、ライフシミュレーション付き住宅購入サポート、ホームインスペクション(住宅診断)付き住宅売買コンサルティング仲介などを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」に参画。
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