令和時代 消費者に選ばれる不動産仲介業の3条件不動産コンサルタント 田中歩

このため、仲介会社は積極的に消費者向けの売り物件の検索サイトを利用するようになり、物件の掲載量の増加とともに消費者の利用も増えていったのです。

こうして仲介会社間の情報格差、仲介会社と消費者との情報格差が縮小し、情報そのものに価値があるとの考え方の土台が揺らいできたわけです。仲介会社に仲介手数料を支払う意義は「物件の調査と仲介事務作業の部分だけに収れんしかねない」という意見を持つ人もいるくらいです。

建物の状況調査、進まず

売り物件の情報格差が縮小した平成の30年でしたが、ユーザーが必要とする中古住宅に関する情報の大半がオープンになったわけではありません。

例えば、中古建物の劣化状況などの情報はほとんど不明なままで取引するのが実情です。建物の劣化状態がよくわからないまま取引しなければならない不安感が消費者にあると中古住宅の売買が活性化しないとの考えから、2018年4月から売り主や買い主に対し、媒介契約(物件探しや買い主探しを依頼する契約)時に建物の状況調査を実施するかどうかを確認する義務が仲介会社に課されました。

しかし、現場において建物の状況調査が積極的に推進されているとはとてもいえない状況ですし、本来は「建物状況の調査結果に対してどのように対処していくべきか」といったアドバイスがない状態では意味がないと筆者は感じています。

消費者が知りたい情報は伝わっているか

消費者が知りたい情報は建物の状態だけではありません。マンションであればどのような管理がなされているのか、そしてその管理状況は適正なのかといった情報も必要だと感じる人は多くいます。

災害リスクについてもきちんと調べて説明してほしいと考えるのが普通だと思いますが、仲介会社を規制する法律では土砂災害などの情報は説明義務を課しているものの、洪水ハザードマップなどの情報は説明義務から外されています。価格の妥当性もしかりです。

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