病気やケガで思わぬ医療費 高額療養費で損をしない

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対象は保険適用される診療だ。入院時に必要な食費や、患者の希望によってサービスを受ける差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは対象外となる。通常の出産や不妊治療の費用も含めることはできない。支給を受けられるのは診療を受けた月の翌月から2年。この期間内なら遡って申請できる。

認定証があれば窓口負担も軽く

支給までには3カ月程度かかる。一時的であっても医療費の支払いが負担になるなら、加入する医療保険に申請して「限度額適用認定証」を入手するとよい。保険証と併せて医療機関の窓口に提示すれば支払いを上限額までにとどめることができる。入院の手続きの際にはこの認定証について説明をする病院も多い。

最近ではクレジットカードが利用できる医療機関も増えている。「認定証を使わずカード払いでポイントを得てから、高額療養費を申請することもできる」(畠中氏)

見落としがちなのは「世帯合算」だ。1回分の窓口負担で足りなかったとしても、複数の受診を合わせて上限額を超えれば支給を受けることができる。「合算の仕組みについては知らない人が多い」と社会保険労務士の井戸美枝氏。先日も初期のがん手術を受けた男性会社員が、離れて住む息子の入院費用を合算し忘れた例があったという。

同じ健康保険の家族と合算

同じ月に夫婦や親子が病気やケガをしたときに利用できる。同一の医療保険に加入する家族が対象なので、夫が健康保険の被保険者で妻や子が被扶養者の場合や、それぞれが国民健康保険に加入しているケースはOKだ。一方で共働きで別々の健保組合に入っている夫婦や、健康保険の被保険者と後期高齢者医療制度の被保険者は合算できない。

1人が複数の医療機関の診察を受けたり、ひとつの病院でも入院と外来で受診したりすると、それぞれ別計算となるが合算はできる。同じ医療機関でも医科と歯科は別々に計算する決まりもある。「70歳未満の人が世帯合算を利用する際は、それぞれの医療費の合計額が2万1000円以上になったものに限られる」(井戸氏)

このほか、過去1年に3回以上高額療養費の支給を受けると4回目からは上限額が下がる「多数回該当」という仕組みもある。治療が長期化する場合に負担を軽減してくれる。

(土井誠司)

[NIKKEIプラス1 2019年3月30日付]

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