遊び心練り込んだ自家製パン、仏料理のお供に 福岡Restaurant Kazu(レストラン カズ)

日本経済新聞西部夕刊

閑静な住宅街のビル3階。20席ほどの小さな店で、福岡には多くない正統派フレンチが味わえる。「旬のものを適切に調理する」。シンプルな言葉には、店主の篠原和夫さんが厳選した食材の滋味と調理アイデアが詰まっている。

イラスト・広野司

この日の魚料理はアマダイのうろこ焼き。パリパリに仕上げたうろこと、繊維がほどける肉厚の身。そこに、契約農家から仕入れた季節野菜が彩りを添える。料理の器には大半が有田焼。絵画のような一皿に、目も舌も奪われる。

共に登場したのはトマトの形をした自家製パン。「かわいい」。思わずつぶやくと、店主の妻で製菓・製パン担当の美樹さんがにこり。「見た目も似せた方が楽しいから」と遊び心も練り込む。小麦の風味と野菜の甘みを融合させ、その料理に最も合うパンに仕上げる。

予約制でコースは昼なら5000円(税別)から。「地域柄、あまり事前予約の文化がないけど」と和夫さん。福岡にフレンチが少ない一因でもあるようだ。ただ同店は2011年に現在地に移転する前からの常連客も多い。

子供連れ、高齢の夫婦、病を患った人――。店の扉を開く客はさまざま。ファストフード店の増加などで食に関心が薄い人も増える中、「本当においしいものを食べてほしい」(和夫さん)、変わらない思いが訪れた人の心をつかむ。

(鳥越ゆかり)

〈レストランカズ〉福岡市中央区浄水通3の40 HILLS浄水3階 電話092・522・0015

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