バツイチ子持ちの黒人ヒーロー アメコミドラマに新風
2019年2月 海外ドラマ月間レンタルランキング
アメコミのドラマ化が相次ぐ米国テレビ界に、バツイチ子持ちの中年男性という異色の黒人ヒーローが登場。その『ブラックライトニング』は、従来のアメコミドラマのファンよりも年齢層が高い50代男性からの支持を集めてヒット。TSUTAYA海外ドラマ月間レンタルランキング2月度では2位に初登場した。
ブラックライトニングは1977年、DCコミックスに登場した初の黒人のスーパーヒーロー。その実写化ドラマとして、2018年1月からThe CWで全米放送が始まった。The CWは、すでに『ARROW/アロー』『THE FLASH/フラッシュ』『SUPERGIRL/スーパーガール』といったアメコミのテレビシリーズ化を成功させている。それらの製作総指揮を手がけるヒットメーカー、グレッグ・バーランティが送り出した新作が『ブラックライトニング』だ。
これまでのヒーローと大きく違うのが、アラフィフ(50歳前後)という年齢。妻と離婚し、2人の娘を育てながら、地元の高校の校長を務めているという設定だ。全盛期のように体が動かず、疲れが抜けなかったり、家庭では子煩悩な父親だったりと、中年のヒーローならでは生活感も描かれる。これまでの若いスマートなヒーローとは一線を画す、不器用ながらも熱血漢なキャラクターが見どころとなっている。
主人公のジェファーソン・ピアースは、電撃を自在に操れる能力を生かし「ブラックライトニング」として街の安全を守っていたが、9年前にヒーロー業を引退。以来、高校の校長を務め、平穏な暮らしを送っていた。だが、その間に宿敵の犯罪組織が勢力を拡大。街が無法地帯となったことで、再びヒーローとして立ち上がることを決意する、というストーリーだ。
社会的なメッセージも反映
ブラックライトニングことジェファーソンを演じるのは『プリズン・ブレイク』などで知られるクレス・ウィリアムズ。身長196センチのがっちりした体格で、年齢も48歳と役と同じアラフィフとあってハマリ役。人気ラッパーのマーヴィン・クロンドン・ジョーンズ3世がブラックライトニングの宿敵トビアス、グラミー賞受賞歴を持つジル・スコットが謎の悪女を演じるなど、多彩なキャストが物語を盛り上げる。
TSUTAYA レンタルユニット 映像チーム海外ドラマ担当の中山知美氏によると、通常アメコミ作品のレンタルユーザーは40代がボリュームゾーンだが、『ブラックライトニング』は50代以上の男性が主なのが特徴。「アラフィフで子どもを持つ主人公はアメコミでは珍しく、主人公と同じ世代から支持されているようです。娘を含めた家族でヒーローとなって悪に立ち向かうという、まるで『インクレディブル・ファミリー』のようなポップな要素がある一方で、内容は他作品に比べると大人向けにアレンジされ、黒人社会の問題などを取り上げています。社会的なメッセージがより濃く反映されているのも、大人に受ける理由かもしれません」(中山氏)。
『ブラックライトニング』は全米では18年10月からシーズン2が放送された。アメコミの新たな人気シリーズとして、日本でも大人のファンを増やしそうだ。
(日経エンタテインメント! 小川仁志)
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