最近、ビジネスパーソンの装いでよく感じるのは「香り格差」です。身だしなみに神経を使い、複数のフレグランスを使いこなすなど、女性顔負けの繊細な「香りマネジメント」をする男性が増える一方で、「におい」の身だしなみに無頓着でいるか、または「間違った香りマネジメント」をしてしまい、そばから見て非常に損をしていると思える男性が一定数いらっしゃいます。ここらで一度、ご自分と香りの付き合い方を見直してみてはいかがでしょうか。
冒頭で「非常に損」と言ったのは、その人の「香り」ないしは「におい」は、その人の印象にきわめて重大な影響を及ぼすからです。嗅覚は、感覚器官の中で、脳の本能的な働きをつかさどる部分に直結する唯一の器官と言われます。つまり、「におい」や「香り」というものは、人の本能的なところを素早く揺り動かします。それによって理性以前の好き嫌い、安心感や信頼感は大きく左右されます。
それだけではありません。香りの研究に詳しく、エグゼクティブ向けに香りのアドバイスも多く行う調香師の村井千尋氏は、著書「一流ビジネスマンはなぜ、くさくないのか?」(実業之日本社)の中で、「嗅覚」という感覚の影響や働きについて詳しく述べていますが、その中には、このような記述があります。
(1)感情に訴える力
(2)記憶の長さ
視覚は見た目の情報を捉え、聴覚は声や言葉など聞こえる情報を捉えます。普通、私たちは見えるものや聞こえるものといった情報は重視しますが、「におい」や「香り」に払う注意はそれほど大きくありません。しかし、嗅覚が感じること、つまり「匂いや香り」は、すぐ相手に影響し、しかも記憶に長く残る要素です。実は見た目や聞こえることと同じように、いいえ、それ以上に人間の感覚に影響するのです。

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