血糖値を下げるための運動 いつ行うのが効果的?

日経Gooday

正解は、(2)食後の1時間以内です。

食後の運動を続ければ続けるほど効果がある

「糖尿病の一歩手前、予備群ですね。運動しましょう」。健康診断などの結果から、医師にこんなふうに言われた経験がある人も少なくないかもしれません。2016年の厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、全国で糖尿病の人は約1000万人、その予備群も約1000万人と推計されています。

糖尿病とは、一言でいうと、「血糖値が高くなる病気」のこと。血糖値、つまり血液中のブドウ糖の濃度が上がり、それが原因となって血管にダメージを与え、やがて動脈硬化や神経障害、腎症、網膜症など、さまざまな合併症が引き起こされるのです。

血糖値を下げるために重要なのは、食事療法と運動療法です。摂取するカロリーと糖質の量を控えれば、血糖値の上昇を抑えることができます。一方で、ブドウ糖は体を動かすためのエネルギー。だから運動すれば、血液中のブドウ糖が筋肉で大量に消費され、血糖値が下がるというわけです。

慶應義塾大学医学部スポーツ医学総合センターの医師であり、糖尿病患者の運動療法にも詳しい田畑尚吾さんは、「運動によって一時的に血糖値が下がることを急性効果と言います。その上、定期的な運動を継続して行うと、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きがよくなり、血糖値が下がりやすくなる。これを慢性効果と言います」と説明する。

つまり、続ければ続けるほど効果が高まり、積み重ねの効果があるのが運動療法の特徴なのです。

食後に20分間のウォーキングを行うことで、食事で上がった血糖値を下げることができる(急性効果)。それを毎日続けると、積み重ねの効果として、普段や食後の血糖値を抑えられるようになる(慢性効果)。慶應大学・田畑尚吾氏の資料より作成

それでは、いつ、どのような運動をすれば血糖値を下げられるのでしょうか。「糖尿病の合併症を予防するためには、1日の中での血糖値の変動を小さくすることが大切です。血糖値のピークはだいたい食後1時間にくるので、食事をしてから1時間以内に運動を開始すれば、食後の血糖値の上昇を抑えられます」(田畑さん)

血糖値を下げるために有効なのは、ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの「有酸素運動」です。運動する時間が長いほどより多くの糖を筋肉で消費できるので、長く続けられる有酸素運動が効果的というわけです。運動不足の人は、まずは手軽に始められるウォーキングを、食後に20分程度やるのでもいいでしょう。

そして、有酸素運動と併せて、筋力トレーニングを行うことも、糖の代謝を増やしてくれるのでお勧め。筋肉量を増やせば、それだけ糖を消費しやすい体になります。フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは「できるだけ大きい筋肉や複数の筋肉を同時に鍛えたほうが効率がいいので、大きな筋肉が集中している下半身を中心に筋トレをするといいでしょう」と言います。

筋肉量を増やしてから有酸素運動をしたほうが、多くの糖が使われるようになるので、年を取って筋肉量が落ちてきた中高年の方は、ウォーキングをするだけではなく、筋トレも取り入れる必要があるといえます。

(日経Gooday編集部)

[日経Gooday2019年3月25日付記事を再構成]

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