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「だまされる人」は何度も被害に 投資詐欺の最新手口 弁護士 志賀剛一

2019/3/28

しかし、逆の場合に例外はありません。無登録業者が投資を勧める行為はそれ自体が違法で、絶対にその話に乗ってはいけません。

もし不幸にしてこのような投資詐欺に引っかかった場合、どうすればよいのでしょうか。このような被害者の多くがまず警察に相談します。確かに、世間の注目を集めた大型詐欺事件では警察が動くこともあります。

しかし、個々の被害者が「だまされた」と言って警察署に相談しても、詐欺事件は立証が難しく、警察としても単に主催者の配当金の支払いが遅れているだけ、つまり民事上の債務不履行との可能性が払拭し切れない以上、民事不介入の原則により事件として扱えない場合が多いのです。

「そんなことはない! これはきっとポンジ・スキームに違いないから立ち入って調査してくれ」とお願いしても、警察は見込みだけで捜索押収令状をとることもできません。

■管財人や弁護団名乗る「二次被害」が発生

では、民事事件で返還を求めることはどうでしょうか。冒頭に私は「出資したお金は返ってこない可能性が高い」と厳しいことを書きました。もちろん、民事上の返還請求などによりいくばくかのお金が返ってくることはあるでしょうが、全額が返還されることは残念ながらまずありません。

このような投資詐欺会社が破産すると、裁判所から破産管財人が選任されます。破産管財人に対し「直ちに全額返せ!」と強い調子で迫る債権者もいますが、債権を全額返還できるならそもそも破産する必要がないわけですから、これは到底無理な要求です。これは被害者弁護団などに返還を相談する場合も同じだと思います。こうした事件に精通している被害者側の弁護士は、被害者に対して決して甘い見通しを示すことはないはずです。

ところが、これに付け込んだ二次被害が発生しています。破産管財人や被害者弁護団の名を語り、言葉巧みに被害者に「配当金が全額支払われることになった。そのために手数料がかかる」などと申し向け、さらに金銭をだまし取る手口があるのです。

被害者の連絡先を知っているのは、詐欺グループ間で被害者の名簿が流通しているからです。つまり、だまされる人は何度も何度もだまされてしまうのです。厳しい意見を無視し、聞こえの良い話だけを聞いているとさらに被害が拡大します。不幸にして詐欺事件に遭ってしまった場合、最大の防御策は「二度とだまされないこと」なのです。

志賀剛一
志賀・飯田・岡田法律事務所所長。1961年生まれ、名古屋市出身。89年、東京弁護士会に登録。2001年港区虎ノ門に現事務所を設立。民・商事事件を中心に企業から個人まで幅広い事件を取り扱う。難しい言葉を使わず、わかりやすく説明することを心掛けている。08~11年は司法研修所の民事弁護教官として後進の指導も担当。趣味は「馬券派ではないロマン派の競馬」とラーメン食べ歩き。

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