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連載開始後13年がたち、単行本は53巻まで発行されている『キングダム』。累計3800万冊以上の、押しも押されもせぬ大ヒット漫画だが、作者の原泰久氏の道のりは平坦ではなかった。大人が仕事の指南書としてハマる、異色のロングセラーが生まれた軌跡と、自身が脚本に参加した映画『キングダム』への思いを聞いた。

『キングダム』は53巻まで発売中

『キングダム』は53巻まで発売中

――『キングダム』は、リーダーシップや経営が学べる指南書として、ビジネスパーソンに読まれています。

「ビジネスに役立つ」という声をいただくのですが、もちろんビジネス用途を狙っているわけではないんですよ。でも、サラリーマンを経験していることが影響しているかもしれません。

僕は学生時代から漫画を描いていて、サラリーマンなんて嫌だ、漫画家になりたい、クリエーティブな仕事に携わりたいと思っていました。当然、簡単になれるわけがなく、いわば「しかたなく」SEとして就職し、「早く抜け出して、漫画家デビューしよう」と、不届きなことを考えていたんです。

ところが、いざ働いてみると、予想外に仕事が面白い。学生の目から見ると、会社では皆同じようなことをしているように見えていたのですが、実際の現場は、チームごとにそれぞれ役割があり、有機的に動いている。『キングダム』でいえば「伍」ですね。それがいくつもあり、そのなかで戦ったり、リーダーたちが上長とけんかしたり、一人ひとりがアグレッシブに動いている。ドラマチックだと思いました。

当時は、特許技術を有する特殊なチームのSEだったのですが、先輩のプログラマーが退職してしまい、途中から僕一人でプログラミングを担当することになり、かなり追い込まれました。ミスもいっぱいして、僕がやらかしたバグのせいで会社に大きな損失が出たこともあります。あのときはもう、切腹覚悟で会議に出ました。

すると、どう考えても僕が悪いのに、上司が逆ギレともいえるくらい怒りながら、僕を守ってくれた。本当にうれしかったし、すごくかっこいい人だなと思いました。

3年という短い時間でしたが、少人数のチームだったので、多くの経験をさせてもらいました。うまい酒も苦い酒も飲みました。先輩に叱られたり、ちゃかされたり、かわいがられたりしながらいろんなことを学んでいく信は、僕のサラリーマン時代の経験そのものなんです。あの経験がなければ飛信隊の泥臭い部分は描けず、形式上かっこいい部分だけで終わったと思います。

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