体を動かす、つまり筋肉を使うと、血行が良くなる。すると、必要な栄養や酸素を体全体にまで行き届かせることができる。また、代謝によって作り出された不要物質などの排出も促せるようになる。それが体全体の健康に貢献するのだ。

「例えば、たった1階分なのに、階段を使わずにエレベーターやエスカレーターを使う人をよく見かけますよね。それでは体力は衰える一方です。企業や地方自治体では、省エネと健康のために『2UP 3DOWN』を推奨しているところがあります。これは2階分上がる、または3階分下るためには階段を使いましょうというもの。私はこれをさらに進めて、上下4階分は階段を使うことをお勧めします」(中野さん)
階段を上るときには、足の裏にしっかり体重をかけて、一段跳ばししてみるのもいい。すると、臀部(お尻)の筋肉群に刺激が入り、鍛えることができる。こうすれば、1階分であってもそれなりの刺激になる。
また、駅やオフィスなどで必ず階段を利用する習慣を身につければ、1回の刺激は少なくても、繰り返すことで効果を期待できる。
加齢とともに衰える下半身を自重筋トレで鍛えよう
日常の活動量がとても少なく、極端な運動不足の人にとっては、階段を使う習慣を身につけることで、体力が少しずつ回復していくだろう。だがそれでは不十分だ。
「日常生活の中で筋肉を鍛えるのもいいですが、それは必要最低限の筋力を維持するものだと考えてください。できれば、自分の体重を負荷にした『自重筋力トレーニング』を取り入れてほしいですね」(中野さん)
年を取ると、特に大きな筋肉が集中する下半身が衰えてくる。「加齢によって筋肉量が減ってくる下半身を鍛えるのであれば、スクワットやランジなどが最適です」(中野さん)
年を取っても若いころと同じような食事をとっていると太りやすくなるのは、筋肉量が落ちて基礎代謝が低下することも原因の一つだ。筋肉量を増やすことは、肥満防止にも一役買うことになる。それに高齢者の場合は、筋肉量を維持することが、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)や寝たきりの予防にもつながる。
インターバル速歩やストレッチで体力向上!
それでは、心肺持久力や筋肉の柔軟性を高めるためには、どうしたらいいのだろうか。