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バンドNulbarich ロックやジャズ、スタイル自在

2019/4/8

バンドNulbarich(ナルバリッチ)は、ブラックミュージックをルーツに持ち、J―POPのようなキャッチーさもあるサウンドで洋楽ファンからの評価も高い。昨年は資生堂のCMや映画のエンディングに楽曲が採用され、初の日本武道館公演も果たした彼らが、このほど3番目のアルバム『Blank Envelope』をリリースした。

Nulbarichは、シンガーソングライターとして活動していたJQ(リーダー兼ボーカル)を中心に、メンバーを固定しないスタイルで2016年に結成した。

幼少の頃からピアノを習い、小学校では吹奏楽、中高はバンドと常に音楽をプレーしてきたJQ。高校時代のヒップホップとの出合いが、「より音楽にのめり込むきっかけになった」と言う。

従来の楽曲を引用して再構築する「サンプリング文化」が盛んなヒップホップだけに、「元ネタとなる楽曲を掘っていくなかで、ジャズやファンク、ソウルといったブラックミュージックに自然と触れるようになった」(JQ、以下同)。

そこから作曲活動を始め、クラブなどで歌いながら知り合ったミュージシャンたちと組んだのがNulbarichだ。「ロック一筋だったり、ジャズピアニストなど様々な音楽性を持ったメンバーが現在10人います。各ジャンルのカッコいい部分を持ち寄った楽曲を作れるのが強みです」

歌詞は、英語と日本語が交じり合ったスタイルが特徴。「英語のほうがメロディーに乗りやすいし、ずっと日本語で畳み掛けるよりも、たまに入ってくるぐらいのほうが説得力も出る」と言う。

新作は音楽性を広げた1枚。日本武道館という大きなステージに立ったことで、よりいろいろな人に聴いてもらいたいという思いが強まったという。「原点回帰のような作品も作れたし、新しいサウンドにも挑戦することができた」

初めてドラマ用に書き下ろした『Sweet and Sour』は肩の力が抜けた心地いいサウンドに乗せ、どこか哀愁の漂う感情を歌った。「ドラマ『デザイナー 渋井直人の休日』の世界観に合わせ、未来に不安は尽きないけれど、とりあえず前を向いて進んでみようみたいな、ふわっとしたポジティブマインドを歌詞にしました。この感情はデビュー当時の僕が抱えていたものにすごく近いんです」

『Super Sonic』では敬愛するジャミロクワイが得意とするアシッドジャズに挑戦。「これまであるジャンルの楽曲をストレートに表現することは意外とやってこなくて。今の自分たちであれば素直に取り組めると思ったんです」

このほか『Stop Us Dreaming』では歌詞をすべて英語に。「俺たちを止めることは誰にもできない」など強気なフレーズが並ぶ。「武道館で身に付いた自信を歌詞にしました。日本語で歌うと嫌みに聴こえるかなと(笑)。なので、自然に聴こえる英語詞にしました」

独自のミクスチャーサウンドや歌詞の世界観を武器にCM曲に加えて、ドラマ曲も手掛けるようになった。お茶の間層への浸透も進みそうだ。

(日経エンタテインメント!3月号の記事を再構成 文/中桐基善)

[日経MJ2019年3月22日付]

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