面倒な話をサラリと伝える うるさ方も味方にするコツ『「言いづらいこと」を、サラリと伝える技術』 稲垣陽子氏

相手の気持ちを考えれば、言いにくいこともスムーズに伝えられるかも。写真はイメージ=PIXTA
相手の気持ちを考えれば、言いにくいこともスムーズに伝えられるかも。写真はイメージ=PIXTA

相手の利益にならない話はとかく切り出しにくい。しかし、先送りすれば、さらに事態が悪化しかねない。『「言いづらいこと」を、サラリと伝える技術』(三笠書房)を書いた稲垣陽子氏は「言いづらさの心理を知れば、面倒な話もスムーズに切り出しやすくなる」と背中を押す。気が重い話題への対処法を聞いた。

「機嫌が悪くなる人」にどう向き合う?

「言いづらさ」には理由がある。多くの場合、話した相手が不愉快になり、その反応で自分も不愉快になるのが大きな理由だろう。

稲垣氏がクライアントであるビジネスパーソンに「言いづらい相手はどういう人か」というアンケートをとったところ、最も多かったのは「何か言うと、機嫌が悪くなる人」だった。機嫌が悪くなるのが容易に想像できるから、言いだしにくいわけだ。裏を返せば、相手の気分を害さないような言い方を身につければ、気の重い話題は減ることになる。

言われた相手が反発するのは、自分の考えになじまない意見を押しつけられたと感じた場合が多い。だから、まず相手の気持ちに寄り添った態度を示せば、その後の言葉をソフトに受け止めてもらいやすくなる。「大変でしたね」とひと言添えるだけでも、空気は変わる。「相手の立場を思いやって共感を示すのは、言いづらいことを穏やかに伝える第一歩」と稲垣氏は言う。

相手への共感を示すのに最も効果的なのは話を聞くことだ。稲垣氏は「最初の3分間は相手の話を聞くのに集中したい」と説く。聞くことに徹するのは、相手を落ち着かせるのにも役立つ。「言葉尻をとらえて、優位に立とうとしたり、相手をやり込めようと試みたりするのは逆効果しか生まない」(稲垣氏)。こちらの考えや事情を伝えるのを後回しにし、いったんは受け止めたほうが結局はスムーズに話を進めやすくなるという。

状況を引いてとらえる「俯瞰(ふかん)」の視点も、言いづらい話を聞いてもらいやすくするのに重要だという。発言の細部にとらわれて実りのない言い合いをするようでは、相手のペースに巻き込まれたり、論点がずれたりしやすい。相手の発言や態度の背景になっている事情に目を向け、「なぜ、反発しているのか」「どこに不満を感じているのか」という根っこの部分を明らかにするほうが、相手との向き合い方を決めやすくする。

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