40代に「老後」はない 黒字の人生送る逆転キャリア術経営者JP社長 井上和幸

ポストオフと定年から逃げる方法

40歳代、50歳代の皆さんが、これから20年を生き延びる「たった一つの冴(さ)えたやり方」は、世間の今の常識にむやみに従わないことです。「もう○歳だから」「残りあと○年」などと言っている場合ではないのです。ポストオフ、60歳定年に黙って従う構えでは、先のシミュレーション通りの寂しい現実しか待っていません。であれば、役職定年や60歳定年から、逃げてみませんか。

現職企業が役職定年制であるなら、逃れるすべは2つ。役職定年を逃れるプロモーション(課長→部長、部長→執行役員、執行役員→取締役などへの昇進)を実現するか、別の会社に場を求めるかです。

昇進でポストオフが先送りできるなら、それが望ましいと思います。ここまで頑張ってきた会社で幹部に昇進できれば、最も成果を出しやすいですし、気心が知れた部下・同僚・上司もたくさんいるでしょう。ミドルやシニアにとって、承認し合える仲間のいる居場所があることは、心身の健康面でも非常に大事です。

もしそれがかなわないならば(かなわなそうであれば)、転職という手段を積極的に取ってみる価値はあるでしょう。本格的にはまだまだこれからですが、ミドル・シニア世代の転職の道はかなり広がっています。

特に事業執行力のある方、管理部門でのマネジメント職の方、海外事業をリードした経験のある方、あるいは特定の専門領域でのスペシャリティーや豊富な人脈を持っている方は、それを求める中堅・中小企業や、海外事業関連などでは大手企業も常時あり、当社にも多彩な企業から幹部採用の依頼が舞い込んでいます。

転職の際は、職務内容や企業風土の相性などを慎重に吟味する必要がありますが、今後のキャリアプランや人生プランを検討するにあたり、自身の市場価値や保有する人的資産の棚卸しのためにも良い機会になると思います。

×「定年後にやる」→○「今すぐ始める」

ポストオフや60歳定年から逃げる道として、もう一つは独立(自営、起業)という選択肢があります。

「井上さん、僕も定年後は会社を創ろうと思っているんだよ」
「趣味で小説を書いていましてね。定年になったら、本格的に執筆に入って文学賞に応募しようと思っています」
「今はまだ早いので、60歳を過ぎたら、講師業にでもチャレンジするつもりです」

転職相談者やセミナー参加者などから、こうした話をよく伺います。その際に私が申しあげているのは、「やりたいことなら、なぜ今すぐやらないのですか?」。

起業や独立の準備が早すぎることはない。写真はイメージ=PIXTA

変にけしかけるつもりはありませんが、私も人材コンサルティングに長く従事し、様々な方のキャリアを拝見してきました。その中には起業して成長企業を創り上げ、上場されてなお高成長を続けて活躍中の経営者、コンサルタントとして独立され引っ張りだこの方、身を転じて別の世界(作家や農業関連、スポーツ関連など)で活躍中の方もいます。成功を手に入れた方々の共通項は、「独立する以前から始めていた」「思い立ったらすぐ動いた」ことです。

もし「定年後にやる」と考えていることがあるなら、少なくとも具体的な準備を今すぐ始める。本当にライフワークにしたいことであれば、定年まで待つ必要などありません。すぐに転身した方がよい。心からそう思います。

皆さんの仕事上の専門タイプは様々です。主にプロデューサー(事業や企画を統括・推進する立場の人)、スペシャリスト(専門技術・スキルを発揮する人)、オペレーター(支援業務、作業系業務を担う人)に分かれますが、それぞれにシニアでも活躍できる道があります。これについてはまた改めて詳しく紹介しましょう。40歳代前半~半ばのキャリアの分かれ道で「そろそろ」を選ぶのか、「まだまだ」頑張るのか。答えを出すのはあなた自身です。

経営コンサルタントの大前研一さんが、著書の中で次のように述べています。

「いま40代・50代の人たちは、2040年に老後があると思ってはいけない。60代・70代になっても仕事をやりまくっている自分をイメージし、そういう方向にマインドセットしていかねばならない。もちろん、健康維持のために体も動かし続けて強化していく必要がある。つまり、考え方の基本的な枠組みを変えていくべきなのだ」(「50代からの稼ぐ力」より)

人生100年時代の40歳代、50歳代は、まだ折り返し地点にすぎません。これまでの「当たり前」や「常識」から脱した攻めの姿勢こそが、充実した20年、30年のキャリアを担保することだけは間違いないでしょう。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。次回は4月5日の予定です。この連載は3人が交代で執筆します。

井上和幸
経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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