海外旅行人気ランキング 台北が男女共に1位へ上昇
この5年間で、人気の海外旅行先はどのように移り変わっただろうか。5年前に圏外だった都市が急浮上する──そんな大きな変化は、男女共に見られない。その中で、着実なランクアップを見せて首位に立ったのが台北/台湾だ。
平成が幕を下ろす2019年。5月1日が「即位の日」となる今年は、土日を含めて10連休。かつてない超大型連休となる。旅行会社にはすでに海外ツアーなどの予約が殺到。ツアーによっては完売やキャンセル待ちが続出するなど、ゴールデンウイークの海外旅行は、かなりの盛り上がりを見せている。
今回は、ブランドデータバンクが約3万人の消費者に聞いた「行ったことがあって、お気に入りの海外旅行先」の調査結果から、13年6月とその5年後となる18年6月のデータを抽出。男女それぞれのデータを比較してみた。ブランドデータバンクは調査会社のマクロミルが提供するASPサービス。日本全国の消費者3万人にさまざまな持ち物データや価値観の調査を実施し、データベース化している。
「食の宝庫」でB級グルメを巡る
18年の調査で、男女共に最もお気に入りとなった旅行先は「台北/台湾」だ。男性は2位から、女性は9位からトップへ順位を上げた。台湾は食の宝庫として知られる。台北では、屋台のB級グルメを食べ歩く夜市巡りが観光の目玉の一つになっている。1食が日本円で100~300円ほどで済み、現地のメジャーな缶ビールも100円ちょっと。日本人の口に合う料理を安価に楽しめる。
「安くてうまい」を堪能できることに加え、台北は日本から近いのも有利な点だ。台湾の他の都市に比べても、日本からの直行便が多い台北は、格安航空会社(LCC)の安いチケットなら片道数千円。台北に2つある国際空港までは羽田空港からも成田空港からも約4時間、帰りは約3時間という近さにある。
日本各地の空港から出ている直行便も多く、これも台北を身近な存在にしている。仙台空港や富山空港、広島空港や高松空港、宮崎空港、鹿児島空港といった地方空港から定期便が飛ぶ。地方に住む人々にとって、時間も費用もかかる国内移動を必要としないのは大きな魅力。安くておいしくて近い台北は今、最も手ごろに行ける海外なのだ。
アジアなら台北、ソウル、バンコク
男女共に順位を落としたものの、女性2位、男性6位となった「ソウル/韓国」も、台湾と同じくアジア圏の身近な旅行先として依然人気だ。日本からの年間旅行者数は台湾よりも韓国のほうが多く、何度も足を運ぶリピーターの存在もうかがえる。アジアでは他に、男性3位、女性13位に「バンコク/タイ」もランクインした。
日本政府観光局(JNTO)の「日本の観光統計データ」によると、18年に海外を訪れた「出国日本人数」は過去最高の約1895万人。その裾野を広げているのは、毎年、定期的に海外に出かけるようなコア層ではなく、周囲の誘いなどに応じて海外旅行に出かけるライト層だ。時間的にも予算的にもお得感を味わえるアジア圏なら、行き先に海外を選ぶハードルも低いのだ。
圧倒的人気を誇るハワイ
男性2位、女性2位の「ホノルル/アメリカ」は、ワイキキビーチやダイヤモンドヘッド、アラモアナショッピングセンターで知られる人気の都市だ。「オアフ島/アメリカ」も男性9位、女性11位に入っており、ハワイの人気は圧倒的に高い。女性誌では定期的に特集が組まれ、19年5月にはANAが3機の新型旅客機「A380」をホノルル便に導入するなど、話題に事欠かない。オアフ島以外にも、キラウエア火山や、世界で一番星空に近いといわれるマウナケアがある「ハワイ島/アメリカ」(男女共に5位)まで含めると、ハワイの人気は群を抜く。
世界遺産を擁するイタリア3都市
男性7位、女性4位の「パリ/フランス」を除いて欧州の存在感は薄い。ただし女性に限れば、5年前と変わらずイタリアの3都市は人気だ。女性10位「ローマ」、女性12位「ヴェネツィア」、女性15位「フィレンツェ」と続く。イタリアは、世界遺産の登録件数が54と世界最多。ローマのコロッセオやトレビの泉、ヴェネツィアやフィレンツェの街並みといった世界遺産は、世界屈指の観光スポットだ。男性11位「ロサンゼルス」や男性12位「ニューヨーク」も順位を上げている。どうせ行くなら遠くへ行きたい、という層は一定数存在するのだ。
※数値は「行ったことがあって、お気に入りの海外旅行先」の質問に対してその都市や観光地を挙げた人の割合。↑↓は5年前のランキングとの比較
[日経クロストレンド 2019年3月13日の記事を再構成]
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