埋もれた技術で一歩先へ ものづくり信じる起業家の志TRINUS(トリナス) 佐藤真矢代表(下)

佐藤真矢 TRINUS(トリナス)代表
佐藤真矢 TRINUS(トリナス)代表

4000人のデザイナーを組織化し、様々なメーカーから新製品の企画やデザインを請け負うトリナス(東京・渋谷)。創業者の佐藤真矢代表は障害者の就労支援を通じて、埋もれているデザイナーたちのパワーに気付いた。一方、企業の中に眠っている技術の可能性に触れたのが、ものづくり支援ベンチャーのリンカーズ(東京・中央)で働いたときだ。偶然の出合いが、有望な技術をサイト上で紹介し、デザイナーらのアイデアを募るという現在の事業につながる。(前回の記事は「デザイナー4千人束ねる 起業家が問うものづくりの形」)

起業の扉を開いた偶然の出合い

2012年から13年にかけて、コンサルティング大手アクセンチュアの社会貢献活動の一環として、障害者のつくる製品を対象にデザインコンペを開催した佐藤氏。多くの学びを得たNPO団体での業務を終えてアクセンチュアに戻った後、次の舞台を探し始めた。4年半のコンサル業務を通じ、「起業したり新事業を立ち上げたりするスキルをある程度身に付けられた」と思ったからだ。

転職エージェントから「面白い会社がある」と紹介されたのが、リンカーズだった。同社は主に大手企業から依頼を受け、必要な技術を持つ中小企業や研究機関を探して結び付けるマッチングを手掛ける。地場企業の技術力や人脈に精通する地域の経済団体の職員や地銀の融資担当者などをコーディネーターとして組織化しており、そのネットワークを活用することでマッチングの成功率を高めているのが特色だ。

当時、同社は前田佳宏社長と加福秀亙取締役の2人だけ。ただ、佐藤氏は同社がめざすオープンイノベーションによる日本経済の活性化というビジョンと、前田社長の誠実な人柄に引かれ、第3号社員として入社することを決める。「次は少人数のベンチャーで経営に携わりたい」という希望にも合っていた。この決断が後に起業への扉を開くことになる。

大手と中小のマッチングといっても、そう簡単ではない。大手メーカーが「こんな技術がほしい」といっても、中小側は自社の技術が役立つのかどうか見極めが難しい。また、使えそうだとわかっても、本当に大手が契約してくれるのか、技術だけ取られてしまうのではないかと疑心暗鬼になり、情報を出したがらない。

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