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広がるライブ用耳栓、どんな仕組み 使い心地は?

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NIKKEI STYLE

最近、音楽ライブ中に観客がつける「耳栓」が注目されている。音楽を聴きにいったのに耳栓をつけるというのは違和感があるかもしれないが、一般的な耳栓とは異なり、耳栓をつけても音のバランスを崩さず音楽が楽しめるようになっている。聴覚保護の観点から推奨するミュージシャンも増えており、欧米ではクラブ、バーなどでの耳栓の無料配布を義務づけていたり、コンサート会場で耳栓の配布を推奨していたりする地域もあるという(記事「大音量から耳を守れ ライブ専用の『耳栓』が広がる」参照)。だが、まだ使ったことがない人にとって気になるのは、その仕組みと実際に使ってみたときの音の聴こえ方だろう。その効果や構造を知るために製作者に話を聞き、さらに実際のライブに耳栓をつけて参加してみた。

◇  ◇  ◇

「耳への負担を意識しながら音楽を楽しむときに大切なのは、一つは音量、もう一つは周波数のバランスです」

そう話すのは、ライブで使う耳栓、ライブ専用イヤープラグを製作する須山歯研代表取締役社長の須山慶太さん。アーティスト用のイヤーモニターやオーダーメードイヤホンなどを製作する「FitEar(フィットイヤー)」ブランドで知られる同社は、音楽を楽しんで聴きながら聴覚も保護する「SAFE LISTENING」の活動を以前から行っている。

「耳の聴こえ方は人それぞれ違います。ボリュームが大きかったり、指定席で入った自分の席がスピーカーの目の前だったりすると、人によってうるさく感じてしまってライブが楽しめないことがあります。しかし通常の耳栓では音がこもってしまい、音楽を楽しむ体験が損なわれてしまう。ライブ専用イヤープラグは、その両立をはかるものです」(須山さん)

ライブ会場では音量が100デシベルまで行くことも珍しくないが、これは長時間いると聴覚に影響を与える可能性があるレベル。フィットイヤーのライブ専用イヤープラグでは、音楽の質感を損ねることなく15デシベルほど音量を下げることができるという。このライブ専用イヤープラグは、現在「フジヤエービック」「e☆イヤホン」「山野楽器」などで購入できる(実勢価格は2160円)。

遮音されやすい高音を聴こえやすく

では、具体的にライブ用耳栓はどのような構造になっているのだろうか。 須山さんによれば、「メカニズムや構造はいたって簡単なもの」だという。

「まず、通常の耳栓などで耳を塞いでみると、波長の関係から中高域の周波数の音は聞こえにくくなりますが、低い音はなかなか遮断できないことがわかります。そこで、ライブ専用イヤープラグは耳栓をしたときの低音の大きさを基準に、中高音はそれに合わせて音を通しやすく調整しているのです。これにより、音のバランスがフラットになります」(須山さん)

実際に製品を分解して、構造を調べてみた。

耳に入れるスポンジ部分を外すと、内部に白いフィルターが張られている。ここに小さな穴を開けたり、厚さを変えたりして音の入り口部分の形状を工夫することで中域、高域の音を通りやすくし、音のバランスを整えているのだ。

ライブ用耳栓はフィットイヤーの他に、銀座十字屋が扱うオランダ発祥の「THUNDERPLUGS」、CRESCENDOの「イヤープロテクター」など様々な種類がある。「フィルター部の加工方法やボリューム抑制の度合いがそれぞれ異なるので、ニーズにより最適なものを選んでほしい」(須山さん)

ライブの体感エネルギーは変わらず

仕組みを理解した上で、実際にJポップバンドのライブで使ってみる。使ったのは1000人規模のライブハウスで、ステージから近い前方の席だった。会場を見わたしてみると、離れた場所にライブ用耳栓を装着した人の姿が。最初は周囲の目が少し気になったが、使用している人がいたことで気にせず使うことができた。

装着した状態でライブに参加したため最初は効果がわからなかったが、曲の途中でイヤープラグを外してみると「こんなに大きな音が鳴っていたのか」と驚いた。再び装着すると音量が下がり、それでいて外したときと比べて音のバランスに違和感もない。むしろ外しているときは高音がキンキンして耳が痛く感じることもあったが、装着しているとそれが適度に抑えられ、より音楽に没入できる感じがした。

違和感がなかったのは、ボディーソニック(音楽を聴いた時に体が感じる振動)は変わらず感じることができたためだろう。ライブ会場では文字通り音楽を体感しているので、耳で聴く音量が下がっても迫力は損なわれないのは予想していなかった発見だった。

いざというときのお守りとして

須山さんはこうしたライブ用耳栓を「まぶしいときにサングラスをかけるようなもの」と例える。

「車の運転中やスキー場で、まぶしいときにサングラスやゴーグルをかけることを変だと指摘する人はいません。耳栓をすることに抵抗を感じる人もいますが、ちょっと耳がきついなと感じた人が適宜耳栓を利用することで、耳のつらさを我慢することなくライブを満喫できます」

また、「お守りとしての側面もある」と続ける。

「来場者全員が公演中ずっと使う必要はありません。音量が大きくないMC中やバラードでは外したり、持っていったけど使わなかったりということがあってもいいでしょう。使う基準は自分がつらいと感じるかどうかです。ライブの音量は自分では調整できないので、いざというときに取り出せるようにしておくと、安心感があると思います」

普及の鍵を握るのはアーティスト発信

耳に優しいことはわかった。それでもライブで耳栓をするのはアーティストに失礼な気がして、使用をちゅうちょしたりしてしまう人もいるのではないか。

だがフィットイヤーのライブ専用イヤープラグをライブで提供するアーティストも増え始めている。記事「大音量から耳を守れ ライブ専用の『耳栓』が広がる」で記したように、サカナクションは2018年10月から開催中の全国ツアーで、観客に「ライブ専用イヤープラグ」の貸し出しを実施している。アイドルTask have Funのライブや、夏フェス「SUMMER SONIC」のグッズとしても販売された。サカナクションのツアーで使用した来場者からも「装着していても普段と同じように音楽が楽しめた」と好評だったという。

須山さんもアーティストからの発信に期待している。「音楽はその表現のため、時としてある程度大きな音も必要です。聴覚保護を考える上で、単に表現を抑制するのではなく、個人個人異なる耳の感度に配慮する。アーティストがライブ用イヤープラグについてMCで触れたり、グッズとして取り扱ってもらえると、ファンは『あ、使ってもいいんだ』と思えるし、つけている人への理解も深まります。現在は過去に聴覚への不安を感じた経験のあるアーティストの方々に関心をお持ちいただいていますが、参加するファンの『耳』にも配慮し、安心してライブ楽しめるライブを提供する、という姿勢がより浸透していけばと考えています」

現在、フィットイヤーのライブ専用イヤープラグはパッケージをアーティストごとに変えているが、製品自体のカラーを変えたり、ロゴを入れたりすることも可能だという。グッズとしての側面が強まることで、普及はさらに進んでいきそうだ。

(文 小沼理=かみゆ、写真 スタジオキャスパー)

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