ノラボウ菜・東京ウド… 江戸東京野菜、個性で魅了

11年にはJA東京中央会(東京・立川)が江戸東京野菜の認定を始めた。当初の22品目から18年末までには49品目まで増加。ノラボウ菜、内藤トウガラシのほか練馬ダイコン、品川カブ、馬込半白キュウリなどがある。同会によると、都内には「把握している限りで約250軒」(担当者)の農家が栽培する。農家の数も少しずつだが増えているという。

江戸東京・伝統野菜研究会の大竹道茂代表は「歴史や物語を交えた食材の価値に注目する飲食店が使うようになってきた」と話す。地産地消や「コト消費」を求める消費者ニーズが高まるなか、飲食店が導入するケースも増えてきた。

生鮮品として出荷するだけではなく、内藤トウガラシのようにゆずコショウや七味などの加工品として販売する動きもある。江戸東京野菜はジワジワと存在感を増すまっただ中にある。

東京五輪、認知度アップの好機

開催まで500日を切った東京五輪・パラリンピック。江戸東京野菜を国内外に広めていくまたとない好機だ。生産量が限られ食卓の隅々までの供給は難しいものの、都内飲食店や選手らが宿泊する選手村などへの納品で「背景にある歴史や文化などの魅力を訴えていきたい」(東京都の担当者)との期待もある。来日外国人向けに提供する「おもてなし食材」としても、江戸東京野菜を使いたい考えだ。

東京都は選手村での食事に江戸東京野菜を納入したい方針だ(建設中の選手村=東京都中央区)

ただ、選手村の食材納入には農業生産工程管理(GAP)の取得が必要だ。東京都は18年度から「東京都GAP」の認証を始めたが、19年3月時点で取得した都内の農家は13戸だけだ。民間の団体が認証するGAP取得者も多くはない。江戸東京野菜だけでなく、都内産食材の供給がどこまで進むかも見通せない。20年7月の開催までに認証農家をどれだけ増やせるかは課題の一つだ。

20年の東京五輪・パラリンピックが国内外へ認知を広めるきっかけとなれば、復活してきた江戸東京野菜の「歴史のタネ」を次代につなぎやすくなる。このチャンスをしっかりとつかみ、魅力を広めていけるかどうか――。準備が本格化する来月からの19年度は東京農業の正念場ともなりそうだ。

(高野馨太)

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